アルゼンチン大統領選 独立系右派が異例の躍進

現職閣僚との決選投票へ

【サンパウロ綾村悟】南米アルゼンチンで22日、現職フェルナンデス大統領の任期満了に伴う大統領選挙が実施された。即日開票の結果、当選要件を満たす候補がおらず、与党連合の左派セルヒオ・マサ経済相(51)と独立系右派ハビエル・ミレイ下院議員(53)の2人が、11月19日に実施される決選投票に進むことになった。

アルゼンチン大統領選挙では、第1回投票で45%以上の得票率などを満たす候補がいない場合、上位2人による決選投票が行われる。

選管当局の発表によると、開票率98%でマサ氏の得票率は36・6%、ミレイ氏の得票率は30%だった。野党連合の中道右派パトリシア・ブルリッチ元治安相(67)の得票率は23%で3位にとどまった。アルゼンチンで独立系候補が決選投票に進むのは極めて異例。

今回の選挙は、記録的な干ばつの影響を受けた経済危機を背景に戦われた。歴史的な通貨安と130%を超えるインフレが国民生活を直撃しており、経済政策が主要争点となった。

選挙運動でチェーンソーを頭上に掲げる姿が定番となったミレイ氏は、トランプ前米大統領を信奉するリバタリアン(自由至上主義者)の経済学者として知られる。「同じ顔触れでは国は変わらない」と政治変革を訴え、中央銀行解体や自国通貨にドルを導入する「ドル化」を訴えて支持を集めた。

22日、ブエノスアイレスで、支持者に手を 振るハビエル・ミレイ氏(AFP時事)

また、リベラル色が強いアルゼンチンで、人工妊娠中絶の非合法化や行き過ぎた性教育の是正を訴えたことも保守派から支持を集めた。8月の予備選から世論調査で首位を保ってきたが、22日の投票では有権者が急激な変化に不安を覚えた可能性がある。

一方のマサ氏は、与党政権が持つ中国との強い絆や国際通貨基金(IMF)との協調を訴えた。与党側は、中国巨大経済圏構想「一帯一路」への賛同などを通じて、中国との通貨スワップの利用枠拡大など協力関係を深めている。

22日、ブエノスアイレスで、支持者に語り 掛けるセルヒオ・マサ氏(AFP時事)

中国は近年、中南米での存在感を強めており、一時はキューバでの軍事施設設置疑惑も持ち上がった。アルゼンチンはブラジルに次ぐ中南米の大国。ミレイ氏は、中国との関係凍結を求めており、11月の決選投票は中南米の政治バランスを大きく変えるものとしても注目を集めている。

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