【サンパウロ綾村悟】南米ペルーでデング熱が大流行しており、ボルアルテ大統領が国内各地に非常事態宣言を出す事態となっている。大統領選挙を控える中で政権の対応に野党からの批判も集まっており、15日にはグティエレス保健相が流行拡大の責任を取る形で辞任を表明した。
デング熱は蚊を媒介として感染する熱帯・亜熱帯地域に多いウイルス性感染症。感染すると、3日から7日の潜伏期間を経て発熱、激しい関節痛などを引き起こす。重症化すれば死に至ることも少なくない。
ペルー保健省によると、すでに14万7000人が感染した他、248人が死亡、さらに感染は拡大しつつある。ワクチンや特効薬はなく、対症療法しかない。最も有効とされる予防策は、蚊が繁殖する水たまりなどを増やさないことだが、ここ数カ月、ペルーではエルニーニョ現象の影響で熱帯性低気圧(タイフーン)による大雨が続いており、対応が遅れている。
汎米保健機構(PAHO)によると、ペルーでのデング熱の流行はブラジルに次ぐ規模で、1990年以降で最も多い感染・死者数を記録しているという。