【サンパウロ綾村悟】ブラジルのルラ大統領は11日、1月の就任後初の訪中に出発した。15日まで中国の北京と上海に滞在する予定で、14日には習近平国家主席との首脳会談も予定されている。米国を超える最大の貿易相手国、中国との経済関係強化とウクライナ問題への対応などが話し合われる見込み。
ルラ氏は、訪中で中国政府に直接投資拡大を呼び掛けるとしており、撤退した米自動車会社フォードの工場に中国の電気自動車メーカーを招致する方針も明らかにしている。中国とは、2国間貿易に米ドルを介さない自国通貨決済を用いることも合意済みだ。
ウクライナ情勢では、ブラジルと中国は独自の和平案を提案している。ルラ氏は、以前から中国やインドと停戦に向けた協力を行うことを示唆してきた。
政権発足から100日が過ぎたルラ氏だが、第1次ルラ政権(2003~11年)に比べてブラジル社会の保守化が進んでいることもあり、支持率が伸びていない。経済成長と雇用の回復が急務となっており、訪中の成果を支持率回復に結び付けたい考えだ。
また、ルラ氏は訪中の際に、習主席をブラジルに招請することも予定しているという。