
【サンパウロ綾村悟】ブラジル連邦警察は14日、首都ブラジリアの警備に対する任務を怠った容疑で、トレス前法相を逮捕した。滞在先の米フロリダから帰国したところを、空港で拘束された。ブラジルのG1メディア(グロボ系)が報じた。
ブラジリアでは8日、ボルソナロ前大統領の支持者ら約4000が、連邦議会などを襲撃する事件が発生していた。
事件発生時、トレス氏はブラジリアの警備責任者だったが、事件発生の直前に米国に向けて休暇のために出国するなど、故意に警備対策を怠った疑いがもたれている。最高裁が10日、同氏に対する逮捕命令を出していた。
ボルソナロ政権下で法相を務めたトレス氏の逮捕は、これまでに議会襲撃事件で逮捕された最高位の政府関係者となる。また、トレス氏を家宅捜索した連邦警察は、同氏の自宅から、昨年10月の大統領選挙の結果を覆す法案の草稿を発見した。トレス氏は、全ての容疑を否認しているという。
大統領選挙では、僅差で保守派のボルソナロ前大統領が、左派のルラ氏に敗れた。ボルソナロ氏は、今も敗北を認めておらず、同氏の支持者らは大統領選挙の結果に異議を唱え続けている。
同事件では、1000人近くが逮捕されたほか、ボルソナロ前大統領も“扇動”などの容疑で捜査の対象となっている。ルラ大統領は、襲撃事件を強く批判すると同時に、首謀者らを徹底的に追及するように指示している。
一方、最新の世論調査では、議会襲撃事件に対して「ボルソナロ氏に責任はない」と答えた有権者が4割近くおり、ルラ政権と捜査当局に対して慎重な対応を求める声もある。