【サンパウロ綾村悟】急進左派カスティジョ前大統領の罷免に反対する抗議デモが続く南米ペルーで16日、治安部隊とデモ隊の衝突で少なくとも20人の死者が出ていることを受け、コレア教育相とペレス文化相が辞任を表明した。
ペルーでは、反逆罪などの容疑で拘束されているカスティジョ前大統領の解放とボルアルテ大統領の辞任、大統領選挙の早期実施などを求める抗議デモが全国に拡大している。ペルー政府は、非常事態宣言を14日に発令、さらに一部地域では夜間外出禁止令も出したが、デモ隊の占拠による空港閉鎖や幹線道路の封鎖などは続いている。
こうした中、現地からは、ボルアルテ政権の閣僚が、デモ関係者と対話を行う用意があるとの報道も伝わっている。
一方、政情不安の解消に向けて、ボルアルテ大統領は、26年に実施予定の大統領選挙を23年12月に前倒しすると発表していたが、ペルー議会は16日、大統領選挙の前倒し法案を否決した。ボルアルテ大統領には政党の後ろ盾がないため、議会運営は今後も困難が伴うものとみられている。
国連は16日、抗議デモによる死者が増えていることに対して、事態を憂慮する声明を出した。