【サンパウロ綾村悟】南米ベネズエラの反米左派マドゥロ政権と野党連合は26日、メキシコにおいておよそ1年ぶりとなる与野党対話を再開し、人道問題への対応などで協力することに合意した。ノルウェー政府が仲介役として参加した。
合意したのは、医療や教育、食料問題への対応で、欧米諸国による経済制裁を受けて凍結されていたベネズエラの海外資産を利用することになる。資産は国連系ファンドが管理する予定。
また、与野党対話の再開を受けて、米政府は対ベネズエラ制裁の一部緩和を行うことを発表、米石油大手シェブロンにベネズエラ国内での石油生産と米国向け輸出再開を認めた。今回の再開は、6カ月の期間限定かつ新規開発を認めないという条件付きだが、米石油会社による生産再開は3年ぶりとなる。
ベネズエラは、世界有数の石油埋蔵量を誇る石油輸出国機構(OPEC)加盟国だが、経済崩壊に伴う石油インフラへの投資不足や、米政府による制裁などを受けて、石油生産が大きく落ち込んでいた。
世界的なエネルギー高騰とインフレの中での米メジャーによる石油生産再開には期待も集まるが、さらなる制裁緩和には、与野党協議の進展と民主的な2024年ベネズエラ大統領選挙の実現に向けた合意などが必要となる。