
【サンパウロ綾村悟】大統領選挙を終えた南米ブラジルで3日、来年1月1日の政権移行に向けた手続きが開始された。
左派・ルラ次期政権の政権移行チームを率いるアルキミン次期副大統領が3日、右派・ボルソナロ大統領から政権移行手続きを任されているノリエガ官房長官と会談。現地メディアによると、アルキミン氏はボルソナロ大統領とも面会、政権移行に必要な情報公開などに協力する旨を伝えられたという。
今回の大統領選挙は、保守と革新が激突する史上稀(まれ)に見る接戦となり、ブラジル国内が文字通り「二つに割れた」。選挙期間中は、支持候補に絡んだ暴力事件が続発しただけでなく、左派・ルラ次期大統領の当選が確定した後には、ボルソナロ大統領の支持者らが、全国で道路封鎖やデモを繰り広げた。
ただし、ボルソナロ大統領が平和的なデモを行い、道路封鎖を解除するように求める声明を出す中で状況は沈静化、一時はブラジル全国で934カ所を数えた道路封鎖は、現在は22カ所まで縮小した。
12年ぶりの返り咲きとなったルラ次期大統領だが、次期政権に向けた課題は多い。資源高による高成長の支援を受けた前回とは経済環境が異なるだけでなく、国会においても与党・労働党は議席数でボルソナロ氏が所属する自由党の後塵(こうじん)を拝している。