トップ国際アジア・オセアニア「高中所得国」はゴールではない フィリピンから

「高中所得国」はゴールではない フィリピンから

 世界銀行が今年7月に公表した国別所得分類で、フィリピンは1人当たり国民総所得(GNI)が4850ドルに達し、長年の目標だった「高中所得国」の仲間入りを果たした。マレーシアやタイ、インドネシアなどに続き、東南アジアの中でようやく中所得国の上位グループに加わった格好だ。

 しかし、国内に目を向ければ、そこには依然として深刻な経済格差が横たわっている。マニラ首都圏では、洗練されたオフィスビルや高級マンションが立ち並ぶ一方、そのすぐ隣にはトタン屋根や、コンクリートブロックがむき出しの住宅がひしめく貧困地区が広がる。

フィリピンのマニラ首都圏パサイ市の貧困地区越しに見るマカティ市の高層ビル群(福島純一撮影)

 経済成長の恩恵が一部に集中している現実は、都市の風景にも鮮明に表れている。

 さらに、近年の物価高やペソ安が家計を直撃している。生活コストの上昇に賃金の伸びが追い付いていない。かつては生活に一定の余力を持っていた中間層も圧迫され、庶民の暮らしはむしろ厳しさを増している。

 念願の高中所得国入りを果たしたフィリピンだが、世界銀行が定めるGNIの基準値4636㌦との差はわずか214㌦にとどまる。安定した高中所得国としての地位を確立するには、庶民の生活水準を底上げし、経済成長の恩恵をより広く行き渡らせることが不可欠だ。

 経済成長を実際の暮らしの豊かさにつなげられるかどうかが、今後の課題となる。

(F)

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