トップ国際アジア・オセアニアタイ総選挙、3月末実施へ 憲法改正問う国民投票と同時実施か

タイ総選挙、3月末実施へ 憲法改正問う国民投票と同時実施か

タイのアヌティン首相=9月24日、バンコク(時事)
タイのアヌティン首相=9月24日、バンコク(時事)

 タイの総選挙は、2026年3月末に憲法改正の是非を問う国民投票と同時に行われる公算が大きくなった。そもそも少数与党である保守派「タイの誇り党」のアヌティン党首が首相就任を果たせたのは、「4カ月以内の下院解散」を条件に首班指名合意を最大野党人民党から取り付けたからで、現政権は短期で終わる選挙管理内閣になる宿命にあった。ただ総選挙と国民投票の同時実施は、争点の拡散につながるとの懸念の声が上がっている。(池永達夫)

 2年前の総選挙で、事前予想でトップだったタイ貢献党は、終盤に失速し第2党に転落した。投票日直前に親軍党との連立観測が支持者の反発を買ったからだとされる。農村を基盤とするタイ貢献党はいまだ熱烈な支持者を保持しているものの、タクシン氏が収監されるなど力を十分発揮できないまま、来春の総選挙で第1党に返り咲くのは無理というのがもっぱらの観測だ。

 次期総選挙で第1党を制すると見込まれるのは、最大野党の人民党だ。人民党の前身である前進党は2年前の総選挙で、タイ貢献党を抑え込み第1党へ大躍進を果たした。だが、政権樹立には至らず、第2党のタイ貢献党と親軍党を軸とした連立政権が樹立された経緯がある。軍政やクーデターを承認した王室への反発に由来する前進党の急進的政策が、守旧派の懸念を呼び込んだ背景があったとされる。

 2年間の苦汁の日々を耐え、満を持して臨む人民党は、2年前の失敗の轍(てつ)を踏まないために競り勝って勝利を収めるのではなく、地滑り的な圧勝こそが必要だと確信している。目標議席を全500の過半数となる251と公言する人民党幹部がいるのも、そうした背景があるからだ。

 だが現地の観測筋によると、次回の総選挙で人民党はせいぜい200議席から220議席だという。また同筋は、誇り党が150議席程度、タイ貢献党は100議席すら無理で70議席程度に収まるだろうとの予測だ。

 そうした場合、人民党が政権を樹立するには守旧派を納得させられる落としどころを持っているかどうかだろう。あくまで反軍姿勢を貫き王室改革にこだわるなら、トップに立ちながら後続の連立政党に包囲されるという2年前と同じ轍を踏む可能性が出てくるからだ。

 その保険として、人民党は憲法改正の是非を問う国民投票を総選挙と同時実施する案を出している。だが国民世論の盛り上がりをバックに、守旧派を追い落とすのは今の段階では現実的ではないし、招くのは政治的混乱でしかない。総選挙と国民投票の同時実施は、選挙の争点の拡散につながるとの懸念の声も上がっている。

 近年、タイ政情の不安定化が顕著となっている。経済にも悪影響を与え、東南アジアの工場として5%以上だった経済成長も、7~9月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比年率マイナス2・24%となった。コメ担保融資というインラック政権の失政で、コメ輸出首位の座から滑り落ちたままでもある。23年からは人口減へと流れが変わり、放っておいたままでは経済成長が難しい状況でもある。

 政治的混乱と社会的分断が、タイの悲劇を招いてきた経緯がある。そろそろ、こうした悲劇から脱却すべき時を迎えている。

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