トップ国際アジア・オセアニア最大野党新党首「私は中国人」が物議 台湾 政治的分断、より鮮明に

最大野党新党首「私は中国人」が物議 台湾 政治的分断、より鮮明に

台湾最大野党・国民党の全国代表大会で主席(党首)に就任し、演説する鄭麗文氏=1日、台北(時事)
台湾最大野党・国民党の全国代表大会で主席(党首)に就任し、演説する鄭麗文氏=1日、台北(時事)

 台湾の最大野党・国民党の党首(主席)に1日、先鋭的な考え方を持つ前立法委員の鄭麗文氏(55)が就任した。台湾がこのまま与党・民進党の頼清徳総統の下、米国に同調し国防費を上げ、対中強硬路線を取り続ければ「台湾は第2のウクライナになる」と警鐘を鳴らす。そのため、中台関係については積極的な交流で台湾海峡の平和と安定を実現することを訴えている。鄭氏の主張が野党の今後の方針となれば、与野党の政治的分断はますます鮮明になる可能性がある。(宮沢玲衣)

 「台湾人が自信を持って『私は中国人だ』と言えるようにしたい」――。

 鄭氏の発言は台湾で物議を醸した。鄭氏や台湾の人々の指す「中国人」の中国は、中華人民共和国ではなく台湾の正式名称でもある中華民国の意味であるものの、今年6月の世論調査(国立政治大学選挙研究センター重要政治態度分布趨勢〈すうせい〉図)では自身を「台湾人である」とする人々が62・9%で、「中国人である」の2・3%、「台湾人であり、中国人でもある」の30・5%を大きく上回った。

 国民党は2026年の統一地方選を制し、28年の総統選で政権を奪還する目標を掲げている。しかし、台湾人意識が強まる台湾で主流の民意とは逆行する主張を展開する鄭氏に、中間層や穏健な国民党支持者の票が離れる可能性が指摘されている。

 新党首を選ぶ10月の選挙では、泡沫(ほうまつ)候補だった鄭氏がSNSなどで注目を集め、党内の有力者である趙少康・元立法委員から「国外勢力がネットを通じて選挙に介入した」と中国の介入を疑う声が上がった。調査を求められた台湾情報機関の国家安全局長は、国民党の新党首を選ぶ選挙について扱った投稿で「半分以上のアカウントが国外からのものだった」と報告。しかし、「現在の国家安全法と反浸透法のどちらも、国外勢力による国内の団体や政党内部の選挙への規定がない」とし、取り締まれないと語った。

 中国に対して全体的に融和的な国民党内でも中国の介入に疑念の声が上がる中、中道派や台湾本土派など多様な意見と派閥のある党内を鄭氏が団結させることができるかが注目される。

 また、鄭氏の「(ロシア大統領)プーチン氏は独裁者ではない。民主的に選ばれたリーダーだ」とした発言も物議を醸した。独放送局ドイチェ・ウェレの単独インタビューでの発言で、「この世界に完璧な民主主義社会は一つもない」と語り、民主主義にもさまざまな形があると主張した。鄭氏は、台湾はより多くの国との関係を開拓すべきだとも語っている。

 鄭氏は今後の中台関係について、言語や文化、宗教などさまざまな面で共通しているとし、交流して経済的な基盤を強固にすべきだと述べている。中国との交流を深めれば香港のように「中国化」すると危惧する声は大きいが、「第2の香港にはならない」と断言する。台湾の未来は「2300万人の台湾人が決めることだ」とも述べている。

 しかし、中国の習近平国家主席が鄭氏に「国家統一推進」との祝辞を送ったことから考えても、鄭氏の語る台湾の姿からは、中国が将来的に台湾を平和的統一するための下地をつくっているようにも見える。

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