トップ国際アジア・オセアニア中国で行方不明となる台湾人増加 渡航警戒レベルを引き上げ 台湾支配の正当性主張か【ワールドスコープ】

中国で行方不明となる台湾人増加 渡航警戒レベルを引き上げ 台湾支配の正当性主張か【ワールドスコープ】

台北市で、台湾独立を訴える旗の前を通り過ぎる市民=2022年8月6日(AFP時事)
台北市で、台湾独立を訴える旗の前を通り過ぎる市民=2022年8月6日(AFP時事)

 台湾の対中政策を担う大陸委員会は2日、中国を訪問し、行方不明になったり、拘束、取り調べを受けたりした台湾人が8月末の時点で、昨年と比べ約3倍になったと発表した。中国当局が台湾側に通達しなかった事例もあり、台湾への管轄権を主張するための中国の政治的思惑があるものとみられている。(宮沢玲衣)

 大陸委員会によると、今年1月1日から8月31日までで133人の台湾人が行方不明になったり、拘束、取り調べを受けたりした。昨年は55人であり、8カ月で昨年の2倍を超えた。2024年1月から今年8月31日までに中国に赴いた台湾人のうち、50人が行方不明、19人が拘束され取り調べを受け、119人が拘束されている疑いがあるという。

 多くの場合、中国当局から拘束や取り調べを受けているのは、台湾を中心に信仰されている「一貫道」の信者や、中国でビジネスを行う台湾人、詐欺などに関わった疑いのある人々だ。一貫道は、中国が清の時代に発祥し、弾圧を受けてきた。ところが、最近では一般の旅行客までもがホテルや空港のロビーで取り調べを受けるケースが増えている。

 台湾の中央通信社によると、ある台湾人は4泊5日の中国旅行を終えて、台湾に帰るためチェックインをしていると突然「ビザに問題がある」と言われ、取り調べのために別室に連れていかれた。そこで携帯の中身を調べるからと携帯のパスワードを解除することを要求された。1時間ほどたち、「捕まえる人を間違えたようだ」などのささやきが聞こえた後、解放されたという。

 昨年には中国を訪問し、連絡が途絶えた当時22歳の男性・郭宇軒さんの事例が特に注目された。郭さんは昨年8月、中国・上海を訪れ、連絡が取れなくなった。家族や友人がネット上で目撃者を探すなど、さまざまな方法で必死に探す中、連絡が途絶えてから約1カ月後に中国の台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室(国台弁)が、詐欺に加担したとして中国内で拘束されていると発表した。

 米シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)は、中国が一部の台湾人を不法に拘束し、非公開裁判を行い、中国での刑期を終えた後も台湾に戻るのを阻止していると指摘。中国は台湾に対する管轄権を主張しており、拘束はその一環と分析した。

 中国は昨年6月21日に台湾独立の主張や活動が国家分裂行為だと認定された場合、欠席裁判や死刑の適用も可能とする指針を発表している。これは台湾が中国の一部であることを世界に訴えると同時に、中国の利益に反する言論の萎縮を狙ったものだ。これを受けて台湾の大陸委員会は中国本土、香港、アモイへの渡航警戒レベルを2番目に厳しいオレンジに引き上げ、不要不急の渡航を避けるよう台湾人に呼び掛けている。

 また、中国本土で詐欺に関与し、中国当局に拘束されて帰れなくなるケースが増えていることから、「経験不問、短期間で高収入、楽な仕事」といった求人広告や友人からの誘いには特に注意するように呼び掛けている。

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