死者出れば「戦争行為」 フィリピン大統領が中国に警告

5 月 31 日 、 シ ン ガ ポ ー ル で 開 か れ た ア ジ ア 安 全 保 障 会 議 で 基 調 講 演 す る フ ィ リ ピ ン の マ ル コ ス 大 統 領 ( 時 事 )
シンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で、南シナ海の領有権を巡りフィリピンと中国の激しいつばぜり合いが繰り広げられた。フィリピンのマルコス大統領は基調講演で、エスカレートする中国の威嚇行為に懸念を示し、一線を越えれば「戦争行為」になる可能性を示唆。中国側も領海に侵入した外国人を逮捕する権限を主張するなど、対立は強まる一方だ。(マニラ福島純一)

シンガポールで開催されたアジア安全保障会議で5月31日、マルコス氏は南シナ海情勢などをテーマに基調講演を行った。その中で「最後の1インチに至るまで国家主権を守るためなら必要なことは何でもする」と中国の海洋進出を念頭に、武力や脅迫による現状変更を強く非難。あくまでも外交プロセスを通じて平和的に解決するべきだと主張した。

そして2016年にフィリピンの主張を認めたオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所の判断が、南シナ海問題の平和的解決のための強固な基盤を提供すると改めて強調した。

講演後の質疑応答では、「中国海警局による放水銃でフィリピン側に死者が出た場合『レッドライン』を越えたことになるのか」という質問に対しマルコス氏は、「もし故意に殺害されたのであれば戦争行為に非常に近い」と指摘し、米国との相互防衛条約が発動される可能性もあるとの考えを示した。

さらにマルコス氏は、中国海警局による激しい放水で、少なくとも3人のフィリピン軍兵士が負傷していることを指摘、「もし死者が出れば間違いなくルビコン川(越えてはならない一線)を渡ることになる」と述べ、威嚇活動をエスカレートさせる中国を強く牽制(けんせい)した。

これに対し中国外務省は6月3日に談話を発表し、「フィリピン現政権が一方的に双方が合意した紳士協定を放棄した」と主張。南シナ海で緊張が高まっている責任はあくまでもフィリピン側にあると強調し、アジア安全保障会議の講演の内容に反論した。

中国はこの会議の前の5月15日に、南シナ海など自国が主張する領海内に侵入した外国人を逮捕し、最長60日間拘束できるとする規則を発表。さらに中国は南シナ海での生態系保護を理由に5~9月までの禁漁を一方的に宣言するなど、フィリピン側から強い反発を招いていた。

マニラ首都圏の中国領事館前では6月4日、デモ隊が集結し、中国が主張する南シナ海における外国人の逮捕権限や禁漁宣言を非難した。

最近では、中国海警局がフィリピン海軍が拠点とするアユンギン(中国名・仁愛)礁の座礁船の兵士から銃を向けられたと主張する一方、フィリピン国軍は座礁船への補給のため空中投下された物資を中国海警局が勝手に押収し海に投棄したと非難するなど、両国の対立はエスカレートするばかりとなっている。

またフィリピン政府は南シナ海での中国の環境破壊を巡り、常設仲裁裁判所に提訴する方針を明らかにした。司法省によると証拠収集などの準備はほぼ終わっており、6月中にも16年に続く提訴に踏み切るとしている。フィリピンの沿岸警備隊は、中国が人工島の建設のために大規模なサンゴの破壊と採取を行っていると主張している。

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