トップ国際アジア・オセアニア脱台湾へ工作緩めぬ中国 マーシャル諸島 インド太平洋戦略の柱

脱台湾へ工作緩めぬ中国 マーシャル諸島 インド太平洋戦略の柱

わが国のインド太平洋戦略の要でもある南太平洋地域の動向が一段と注目を集めている。中国が対抗戦略として同地域への進出を加速させているからだ。域内島嶼(とうしょ)国家14カ国中2019年にキリバスとソロモン諸島が台湾との断交を発表、現在中国と国交があるのは10カ国に増え、台湾と国交を持つのはマーシャル諸島、ツバル、パラオ、ナウルの4カ国となった。

その貴重な親台湾国の一つ、マーシャル諸島でも昨年11月に行われた国会議員選挙に、首都のマジュロからマーシャル国籍を持つ中国人実業家が出馬した。当選には遠く及ばなかったが、中国の本格的な工作の一環ではないかと話題になった。

同国では年明けの2日、国会議員選挙の結果を受けて国会が開幕し、大統領選挙でヒルダ・ハイネ氏がデービッド・カブア大統領を17対16の1票差で破り新大統領に選出された。親台湾のハイネ氏は、移民ドイツ人のユダヤ系で先祖は元プロテスタントの宣教師だった。

新 大 統 領 に 選 出 さ れ た ヒ ル ダ ・ ハ イ ネ 氏

ただ僅差のため今後反対派による大統領不信任選挙が行われる可能性もある。実際、ハイネ氏は16年の大統領選挙では僅差で敗北、国会会期中の大統領不信任選挙に勝ち大統領になった経緯がある。

また同国は日本とのつながりが濃い。今回、国会議長に選出されたブレンソン・ワセ氏は財務大臣を歴任、祖父は鹿児島県徳之島出身だ。さらにケーザイ・ノート元大統領の祖父も新潟県の北蒲原郡の出身で、メアリー夫人は長崎県波佐見町出身。夫人の亡き父、山村要氏はマーシャル諸島の日系人協会会長を長く務めた。

カブア前大統領の母方の祖父は鎌倉市出身の工藤氏。戦前の国策会社南洋貿易会社のマーシャル支店長だった。いわば要人がいずれも日系というつながりだ。またカブア家は大酋長系でもある。

こうした日系人の影響力が残る同国だが、それだけにわが国だけでなくクアッド(日米豪印)としてもインド太平洋戦略の柱としても重要な地域として目が離せなくなっている。(外報部)

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