【特報】中国、ゴーストタウンも輸出 70万人都市構想、早くも頓挫?

マレーシア・ジョホール沖フォレスト・シティー

マレーシア・ジョホール州の沖合の人工都市フォレスト・シティーを訪ねた。シティーは中国不動産業のトップ3企業の一つ、碧桂園(へきけいえん)が投資総額1000億米㌦(約14兆8000億円)を投入して総面積28平方㌔㍍の敷地を整備し、「20年後の70万人都市」を謳(うた)い文句に推進してきた。マレーシア南部都市ジョホール・バルから車で約40分、マングローブの林を抜け、ヤシ畑を潜(くぐ)り抜けると対岸にシンガポールを望む広大な土地に、その人工都市は忽然(こつぜん)と現れた。2016年3月の正式着工から7年弱で、商店街はシャッター通りになり閑古鳥が鳴いていた。中国はゴーストタウンも輸出する。(池永達夫)

フ ォ レ ス ト ・ シ テ ィ ー の ラ ン ド マ ー ク 棟

碧桂園は不動産価格が高騰しているシンガポールに比べ、その4分の1で買えることを強調。当初は建てる棟が軒並み、完成前から「SOLD OUT」(完売)という時期もあったが一時的現象として終わった。顧客の多くは中国人と韓国人が占める。パンフレットも中国語、英語、韓国語があるが日本語はない。

シティーのランドマーク棟を訪ねると、受付嬢が2人。セールス担当が2人。顧客は記者だけで、広大な敷地だけに侘(わび)しい。

 1階にはタックスフリーの店が何軒か入っており、ここだけは少々、にぎわっている。お目当てはアルコールだが、日本の洋酒「響」やチョーヤの梅酒も人気商品だ。地元ジョホール州やシンガポールからの買い物客がその多くを占める。だが、その他の店舗は軒並み、シャッター街だ。

 ランドマーク棟には、何百台もの車が止められる駐車場があるが、車は数台のみ。がら空きの駐車場を進み、フロントにいた受付嬢に何年働いているか聞くと7年という。セールスマネージャーの林生氏はもっと新しく、6カ月前に雇用されたばかりだ。3年続いたコロナ禍で市場が一気に冷え込み、シティー内部の雇用も厳しい状況を余儀なくされた。

その林氏は、「2万8000戸ある部屋のうち、売れたのは9000戸の約3分の1」と言う。

セールスセンターの巨大模型。客はほとんどいない

その夜、もう一度、ジョホール・バルからタクシーで訪問すると、明かりが全くつかない棟があるばかりか、ついていても1割以下でしかない。対岸にあるシンガポール側の煌々(こうこう)と輝く高層建築群がやけにまぶしく見える。

結局、購入はしても多くは住むことなく、所有権だけのケースが目立つ。中国人富裕層などが、本国有事の折に海外に避難できる場所を確保し、資金もプールしておくツールとして使っているもようだ。中国ではいくら資産があっても、いったん疑獄事件に巻き込まれると、資産一切を差し押さえられるリスクがあり、それを回避するための保険だ。資産があるとやらなければならないことも多くなる。

シティーで本格開業しているのは、インターナショナルスクールとゴルフ場の二つだ。インターナショナル学校は運営されているものの、ほぼ1クラス数人の1桁台の生徒で永続できるかどうか危ぶまれている。生徒の国籍は中国系、韓国系が多く、マレー系も6人に1人の割合で存在する。ただ、フォレスト・シティー住民の子弟というのはほとんどいなくて、近隣から来ている。

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