強い台風で大雨、27人死亡 フィリピン モンスーン活発化で被害拡大 船舶の遭難相次ぐ

7月28日、フィリピン・ラグナ湖のタリム島沖で、転覆した 船の乗客を捜索する救助隊員ら(EPA時事)

フィリピンの東の海上で発生した台風5号(フィリピン名エガイ)は、同国の広い範囲に甚大な被害をもたらした。直接的な被害で27人が死亡したほか、台風が圏外に去った後も季節風による悪天候が続き、客船が沈没するなど被害が拡大した。全国各地の自治体が災害事態宣言を相次いで発令するなど、深刻な被害が浮き彫りとなっており、政府が支援活動を急いでいる。(マニラ・福島純一)

7月下旬に発生した台風5号は7月25日までに最強の「スーパー台風」に発達。ルソン島をかすめるように北西に向かって移動した。

マニラ首都圏など都市部への上陸は免れ直撃はなかったが、移動速度が比較的ゆっくりしていたため、各地で数日間にわたり強い雨が続いた。台風が通過した地域でも、モンスーン(季節風)が台風によって刺激されたことで強い雨が降り続き、状況に追い打ちをかけた。

国家災害リスク削減管理委員会(NDRRMC)によると、台風による死者は8月2日までに27人に達し、13人が依然、行方不明となっている。280万人(約76万世帯)が洪水や大雨の影響を受け、そのうち約29万人が家を失うなどして避難所に移動した。被害を受けた家屋は5万件以上、そのうち約1万9千件が全壊。インフラの被害は35億ペソ(約91億円)に達し、農作物への被害も29億ペソ(約76億円)に上った。

台風とモンスーンの影響でルソン島を中心に全国154カ所の自治体が災害事態宣言を発令。台風が去った後も雨が続き600カ所近くが浸水している状況にある。マニラ首都圏でも台風が通過した後も強い雨が降り続き、道路が冠水して交通がまひする事態が数日間にわたって続いた。

台風は7月27日にフィリピン圏外に出たが、この日マニラ首都圏近郊のラグナ湖では、モンスーンの強風にあおられた小型客船が転覆し乗客27人が死亡する惨事となった。座席数42人をはるかに超える70人が乗っていたことが分かっており、死者の多くは救命胴衣を着用していなかった。出航を許可した沿岸警備隊の職務怠慢が招いた人災だとの指摘の声もあり、上院が調査に乗り出す構えを見せている。

また26日にはカガヤン州沖で、台風の影響で座礁したタグボートの救出に向かった沿岸警備隊のボートが転覆し隊員4人が行方不明となった。その後タグボートの乗組員は無事に救助されたが、沿岸警備隊の4人は8月1日の時点でもまだ発見されていない。

避暑地として知られるルソン島北部のバギオでは台風による地滑りや倒木で、市内の90%の地域が停電に陥る事態となった。市内では11カ所で地滑りが発生し、危険地帯に住む500人以上の住人が避難を強いられた。また名産であるイチゴも深刻な被害を受けた。

マルコス大統領は7月29日、被害が集中したルソン島北部のアブラ州、北イロコス州、カガヤン州を訪問し、自らの手で援助物資を被災者に配布。さらに台風によって被害を受けた住人に資金援助のほか、住宅再建のための資材の提供を約束した。

社会福祉開発省(DSWD)は被災者に対し1億ペソを超える人道支援を行うことを決定したほか、すでに9千個の食料パックを被災地に送ったことを明らかにした。また欧州連合(EU)が人道支援として50万ユーロ(約7800万円)を援助すると発表、中国大使館は6千個の食料パックを提供し、米大使館も1万個の食料パックを提供するなど国際社会からの支援も集まりつつある。

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