トップ国際アジア・オセアニアフィリピン 日本と軍事協力進める  南シナ海で中国と対峙

フィリピン 日本と軍事協力進める  南シナ海で中国と対峙

比空軍のFA50PH戦闘機と編隊飛行を行う航空自衛隊のF15戦闘機(比空軍のフェイスブックから)

南シナ海をめぐる中国との対峙が激しさを増す中、フィリピンは米国だけでなく日本との軍事協力を強化する動きを加速させている。

マルコス政権は、米国と同様の訪問軍協定(VFA)を日本と締結することに意欲を見せ、自衛隊との演習や訓練を実現することで中国の海洋進出を牽制(けんせい)する動きを強めている。昨年9月にマニラ首都圏で次官級戦略対話が開催されたほか、12月7日にも次官級戦略対話が行われ両国の防衛協力について話し合いが行われた。兵站(へいたん)分野での協力を定める物品役務相互提供協定(ACSA)やVFAの締結に関する話し合いが行われたとみられている。

また、12月11日に朝霞駐屯地で行われた日比米の司令官による初の3カ国会談では、陸上自衛隊がUH1J多用途ヘリコプターをフィリピン陸軍に譲渡することが決定されるなど、比軍の装備強化も積極的に行われる見通しだ。

さらに12月6日から8日にかけて航空自衛隊が比のパンパンガ州にあるクラーク空軍基地にF15戦闘機2機を派遣し、比空軍との防衛協力を促進するための部隊交流を実施。航空自衛隊の戦闘機が東南アジア地域を訪問するのは今回が初めてであり、かつて太平洋戦争で激しい戦いが行われた地で披露した航空自衛隊のF15と比空軍のFA50PH戦闘機の編隊飛行は、両国の軍事協力を象徴する歴史的なイベントとなった。

一方で中国は12月上旬に南シナ海において再び船舶を集結させるなど、緊張を煽(あお)る行為を繰り返している。フィリピンがガス田探査を行っている海域に近い場所であり、漁業を装って妨害活動をしている可能性が指摘されている。

これに対し米国務省のプライス報道官は、「スプラトリー諸島のイロコイ礁とサビーナ礁の近くで報告されている中国船の群れのエスカレートは、フィリピンの漁業コミュニティーの生活を妨げている」と指摘。さらに「南シナ海の領有権を主張する他の国々や、この地域で合法的に活動している国々を無視し続けている」と中国の行動に懸念を表明し、フィリピンへの支持を改めて強調した。(マニラ・福島純一)

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »