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フィリピン、オミクロン株の猛威到来 過去最多1日4万人近く感染

「ステルスオミクロン」も確認
フィリピンで新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」によると見られる感染拡大で、コロナ禍が始まって以来の感染者数を記録し政府が対策に追われている。特に感染が急速に拡大したマニラ首都圏では、解熱鎮痛剤のパニック買いが起こり品薄状態が続くなどの混乱も広がった。政府はワクチン未接種者の公共交通機関の使用を制限するなど、感染対策の引き締めも行われた。
(マニラ・福島純一)

新型コロナウイルスワクチンの接種準備をするフィリピンの医療従事者ら=2021年6月22日、マニラ(EPA時事)

昨年末は新型コロナ感染が一段落し規制緩和が進み、賑(にぎ)やかなクリスマスや年末年始を迎えたフィリピンだったが、新年を迎え状況が一変。マニラ首都圏を中心にオミクロン株によると見られる感染拡大が急速に広がり、1月中旬には1日の感染者数が4万人に迫る勢いとなった。

警戒レベルが引き上げられたマニラ首都圏では、政府によってワクチン未接種者の公共交通機関の利用禁止や、ショッピングモールなどの商業施設の入場を禁止するなど、これまでにない厳しい対策が実施された。政府はあくまでも「ワクチン未接種者の保護」を強調しているが、一部の労働者などからはワクチン未接種者への差別や人権侵害を懸念する声も上がっている。また一部の地域では、偽のワクチン接種証明書の密売が行われ逮捕者も出るという問題も浮上した。

一時4万人近くまで1日の感染者数が急増したが、比較的症状が軽い感染者が多かったため、病床の逼迫(ひっぱく)は以前のように深刻化することはなく、ロックダウン(都市封鎖)のような厳しい外出制限に至らなかった。

しかし通常の新型コロナウイルスと比べ、症状が比較的軽いオミクロン株に感染したと思われる人々が、自宅療養のために解熱鎮痛薬のパラセタモールを買い求めたため、多くの薬局で在庫不足が深刻化。さらに感染に備えようとする人々がパニック買いに走り、薬局が購入制限を課すまでに至った。保健省は薬の在庫は十分にあり、同じ効果のあるジェネリック薬などで代用できると説明し、買い占めをしないよう国民に呼び掛けた。

保健省は25日、フィリピン国内でいわゆる「ステルスオミクロン」と呼ばれるオミクロン株の亜種が、すでに多くの地域で拡大していると発表した。ステルスオミクロン株と通常のオミクロン株では症状の違いなどはまだ分かっていないが、PCR検査で特定が難しいという特徴が指摘されている。

ドゥケ保健省長官は24日、マニラ首都圏の感染状況がピークに達し減少に転じたことを明らかにし、この状況が続けば2月に規制緩和が実施されるとの考えを示した。15日には過去最多となる約3万9000人の感染者を記録し、その後も3万人前後の数値が続いたが、26日には1万5000人程度まで減少している。

フィリピン大学などで組織される独立研究組織のOCTAリサーチは26日、マニラ首都圏に関して実効再生産数が0・71%まで減少しているため、2月14日のバレンタインデーまでに感染者数が500人以下になる可能性があると予測した。25日の感染者数は約1万7000人となっており、そのうち2700人がマニラ首都圏で記録されている。

しかし政府は、マニラ首都圏で感染が鈍化する一方で、地方で感染が増加していると指摘し、引き続き感染対策を怠らないよう国民に警戒を呼び掛けている。

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