
2026年のアフリカは、これまでと同様、強権的な指導者による支配の継続、深刻化する債務危機、そして拡大するジハード主義の脅威という幾重もの困難に直面している。
加えて欧米諸国の軍事的撤退と、グローバルサウスにおける米国と中国を軸とした大国間競争の激化は、地域情勢を複雑化させる一要因となっていて、アフリカ諸国が自らの主体性を発揮できるかが問われることになる。
政治面では、高齢の現職大統領が再選を目指す中、反体制派への弾圧や選挙の形骸化が懸念される。ウガンダでは、1986年から権力を握る81歳のムセベニ大統領が任期・年齢制限を撤廃した憲法改正を経て7期目を目指し、エチオピアやコンゴ共和国でも高齢の現職による支配が続く見通しだ。
これらの選挙は政府の統制下で行われ、野党候補や野党支持者への弾圧が懸念されている。政府の汚職、貧困、不平等、説明責任の欠如などの不満を背景に、SNSを駆使した若い世代による抗議運動は拡大するだろう。世界的に広がるZ世代の抗議の波は26年も続き、若者人口の急増を背景にアフリカはその中心となることが予想される。
安全保障面では、サヘル地域(サハラ砂漠の南縁に沿った東西に広がる地域)におけるジハード主義勢力の活動が依然として活発で、安定化への見通しは不透明だ。
マリ、ブルキナファソ、ニジェールで相次いだクーデターは、治安対策の失敗への不満が背景にある。共通要因として、アルカイダ系やIS系の過激派組織の活動が地域で拡大していること、旧宗主国フランスの治安維持努力が不十分なことへの反仏感情の高まり、ロシアとの関係強化などが挙げられる。
これらの国では政党活動の停止、選挙の延期、活動家や記者への弾圧が続く一方で、汎(はん)アフリカ主義を掲げる場合には一定の国民的支持を受けるという側面もある。いずれにせよ今年も民主化へ向けて状況が好転する兆しは乏しく、政情不安が続く見通しだ。
さらにはスーダン内戦とコンゴ民主共和国東部の紛争も収束の兆しを見せていない。国際調停は続くものの、地域大国や外部勢力の利害が衝突し紛争リスクは高水準にあり、今年も人道危機が深刻化する恐れがある。
経済面の最大の焦点は債務問題だ。ケニア、ナイジェリア、アンゴラといった主要経済国は、外貨不足と債務返済負担の増大に苦しんでおり、20カ国・地域(G20)の「債務支払猶予の共通枠組み」の実効性が試される。
特にセネガルは、前政権による隠れ債務の発覚により、債務不履行(デフォルト)の危機に瀕(ひん)している。このため教育や保健などへの投資が制約され、国民生活の根幹となるサービスへの悪影響が懸念される。
国際関係では、フランスや米国の軍事的関与の後退を受け、アフリカ諸国は中国、ロシア、中東諸国などとの関係を使い分け、外交的自律性を高めようとしている。
米トランプ政権と中国・ロシアとの対立が深まる中、アフリカ諸国はどれか一つを選ぶのではなく、自国の利益のために各々から投資を引き出す多角的な外交を加速させるだろう。
25億人(2050年予測)へと向かう人口動態の重みを背景に、若さというポテンシャルを安定と成長につなげられるかが、今年のアフリカ最大の焦点となろう。
(長野康彦)
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