トップ国際【連載】揺れる国際秩序とG7(3)ウクライナ支援強化で結束

【連載】揺れる国際秩序とG7(3)ウクライナ支援強化で結束

G7サミットで招待国も含めた討議に臨む各国の首脳ら=16日、フランス東部エビアン(代表撮影・時事)
G7サミットで招待国も含めた討議に臨む各国の首脳ら=16日、フランス東部エビアン(代表撮影・時事)

 フランス東部エビアンで開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)2日目の16日、ウクライナのゼレンスキー大統領を招き会議が開かれた。G7首脳は、ロシアの侵攻が続くウクライナに「揺るぎない支援」を表明する一方、ロシアに対しては石油・ガス分野への追加制裁を発表するなど、ウクライナ戦争終結に向けた取り組みを強化する意向だ。また、ウクライナへの長距離兵器と防空装備の供与拡大にも合意した。この支援拡大は、今年に入って攻勢を強めるウクライナ軍を後押しすることが狙いだ。

 イランとの衝突の終結に全力を投入してきたトランプ米大統領も、ウクライナ戦争終結に向けて取り組む意向を表明した。ウクライナ問題では過去、ロシア寄りと受け取られてきたトランプ氏と、ウクライナ全面支援を実施する欧州諸国との間で亀裂が見られたが、エビアン会議では欧米がウクライナ支援で結束することが再確認された形だ。

 ウクライナ側の優先順位は、防空ミサイルの増強と生産の許可、冬季支援パッケージ、ロシアへの圧力強化だ。ゼレンスキー氏は同日のトランプ氏との個別会談で、弾道ミサイル迎撃システムやミサイルの生産ライセンス取得の可能性について協議した。

 会議では、インフラ保護のためのエネルギー支援や追加資金についても取り上げられた。参加国は、戦争が続き不足が生じた場合に備えてウクライナに軽油、ガス、ガソリンを支援することで合意した。

 トランプ氏は、現在停止中の対露石油制裁の再開を示唆した。しかし、具体的な時期は明言しなかった。既存の制裁の再開にとどめるのか、追加制裁を検討しているのかは不明だ。トランプ氏はサミット前にロシアのプーチン大統領と電話会談したことを明らかにし、「ウクライナ問題でのプーチン氏の考えに変化はなかった」と説明、プーチン氏に戦争終結に向けた交渉を開始するよう改めて呼び掛けたと述べた。

 ゼレンスキー氏と個別会談したメルツ独首相は、ウクライナの最近の軍事的成功を踏まえ、「ウクライナ戦争において外交の窓が徐々に再び開くかもしれない」と希望を表明し、トランプ氏の対応について「非常に協力的だった。欧州と米国が戦争終結に向けてあらゆる努力を尽くすだろう」と強調した。

 欧州委員会のフォンデアライエン委員長は戦争終結に向けた取り組みが新たな勢いを得るとの見方を示し、「潮目が変わりつつある。ウクライナが勇敢に戦線を維持する一方、ロシアの疲弊はますます明らかになっている。2026年の状況は25年とは大きく異なったものになる」と述べた。

 また、英国では70件の新たな制裁が計画されている。スターマー首相はロシアに対する追加制裁の目的について、「ロシアの戦争機構を停止させ、欧州大陸に平和を取り戻すことだ」と述べた。これらの制裁は、ロシアが石油・ガス輸出制裁を回避するために利用している「影の艦隊」に属するタンカー20隻などを対象とする見込みだ。

 カナダのカーニー首相も同様にロシアへの追加制裁を発表した。カナダ政府によると、影の艦隊に関与する160以上の組織を対象としている。制裁対象にはロシアの兵器産業と偽情報工作に関与する組織も含まれる。

 ホスト国フランスのマクロン大統領は、今回のサミットを「戦略的覚醒の瞬間」と表現した。メルツ氏をはじめとするサミット参加者はトランプ氏がサミットでウクライナ問題に対して前向きな姿勢を示したことを一様に歓迎した。トランプ氏は「一つのこと(イラン攻撃)が終わった今、次のことに集中し、それを成し遂げることができる」と述べている。(ウィーン小川 敏)

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