トップ国際【連載】揺らぐ国際秩序とG7(1)米への配慮で結束演出

【連載】揺らぐ国際秩序とG7(1)米への配慮で結束演出

17日、フランス東部エビアンで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)の討議に臨む高市早苗首相(手前左から2人目)ら(代表撮影・時事)
17日、フランス東部エビアンで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)の討議に臨む高市早苗首相(手前左から2人目)ら(代表撮影・時事)

 フランス東部エビアンの先進7カ国首脳会議(G7サミット)が17日に閉幕した。米国によるイラン攻撃によって深まった米欧の溝は埋まったのか。焦点となった米イランの戦闘終結合意、ウクライナ情勢、重要鉱物のサプライチェーン問題などを中心に検証する。

 G7サミットでは、共同声明は出せなかったものの、議長国フランスのマクロン大統領が注力したトランプ米大統領への配慮により、亀裂状態にあった米欧の関係は一定程度修復された。マクロン氏はトランプ氏への最大の敬意としてサミット後にベルサイユ宮殿での晩餐(ばんさん)会に招待し、サミット終了までトランプ氏を引き留めることに成功した。

 フランス国内では、ベルサイユ宮殿でのもてなしがやり過ぎとの批判もあったが、中座の多いトランプ氏のG7への関与に成功したとも言える。懸案だったウクライナ支援についても支援を制限していた米国の理解を得られ、G7としてウクライナの領土保全だけでなく、ロシアへの制裁強化でも合意を取り付けた。

 同サミットは、米国とイランの戦闘終結に向けた覚書が終始注目されたが、G7参加国は、合意を歓迎することで、トランプ氏への賛意を示した。通常見られるような欧州首脳がトランプ氏のリーダーシップに疑義を呈する場面は今回見られなかった。

 成果としてウクライナへの継続的な支援の他、中東の危機管理、経済安全保障の強化、さらに開発途上国への資金提供の協力などで一定の合意を得た。

 近年、G7は世界が直面する問題への対処で存在価値が問われていたが、トランプ第1期政権から政権に関わってきた米高官は「中国が経済力で世界のGDPに占める割合が17%(米欧日は約50%)になる中、中国の政治体制に共感する国は少ない。G7の存在価値、影響力は変わっていない」との認識を示し、トランプ氏のG7重視を強調した。

 米国とイランとの合意には、イスラエルのレバノン攻撃の停止や核開発の放棄が確実視されていない点など、多くの疑問点はある。それでも、米国とイランの合意を受け、英仏独伊に加え、日本の高市早苗首相もホルムズ海峡の地雷除去に法律の範囲内で加わることを表明した。仏外務省はサミット閉幕後、「地域全体の平和と安全につながる、強固かつ包括的な外交合意を強く支持する」との声明を出した。

 一方、インド太平洋地域については、東シナ海、南シナ海、台湾海峡における現状変更のいかなる一方的な試み、特に武力や威圧による試みに反対することを改めて確認した。さらに北朝鮮の核・弾道ミサイル開発計画に対し重大な懸念を表明するとともに、国連安全保障理事会決議に従い、北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを改めて表明した。

 また、中国のレアアース輸出規制強化を念頭に、重要鉱物が各国の経済的繁栄と安全保障にとって戦略的に重要な役割を担っていることを重視し、サプライチェーンの多様化と強靭(きょうじん)性の構築が喫緊の課題であることを改めて確認した。

 日本は事前の根回しとして、高市首相が英国、イタリアを訪問し、両国の首脳にG7首脳の信頼関係構築を促したことも功を奏した。それに加え、マクロン氏が終始一貫しトランプ氏のリーダーシップに敬意を示したことで、G7内の対立や摩擦は避けられ、一定の結束を示せたことは成果と言える。

(パリ安倍雅信)

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