トップ国際【連載】米中会談と覇権争いの行方(上)トランプ 氏成果演出狙う 中間選挙直前に再会談予定

【連載】米中会談と覇権争いの行方(上)トランプ 氏成果演出狙う 中間選挙直前に再会談予定

 トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は14、15両日、北京で首脳会談を行った。米中対立が長期化する中での会談は、中東情勢、台湾、経済安全保障など幅広い課題を巡る両国の駆け引きを映し出すと同時に、11月の中間選挙を控えるトランプ氏の外交戦略を読み解く場ともなった。(ワシントン川瀬裕也)

15日、北京・中南海で写真撮影に応じるトランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席(AFP時事)
15日、北京・中南海で写真撮影に応じるトランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席(AFP時事)

 会談で両首脳は、終始友好ムードを演出した。習氏は、米中関係を「世界で最も重要な二国間関係」と位置付け、「米国を再び偉大にすること」と「中華民族の偉大な復興」は両立し得るとの考えを示した。トランプ氏も習氏の歓待に謝意を表し、会談を「素晴らしい時間だった」と振り返った。

 一方、実質的な成果はなお不透明な点が多い。中国商務省は16日、関税や農産品、航空機購入などを巡る合意について「予備的」なものだと説明した。米側はこれらの合意を成果として打ち出しているが、中国側は具体的な規模や履行時期について慎重な姿勢を示している。

 トランプ氏が今回特に重視したのが、イラン情勢とホルムズ海峡を巡る問題だった。ホワイトハウスによると、両首脳はイランが核兵器を保有してはならないこと、ホルムズ海峡をエネルギー輸送の要衝として開かれた状態に維持する必要性があることを確認した。イラン情勢の緊迫化は、原油価格や米国内のガソリン価格に直結する。11月の中間選挙を控えるトランプ氏にとって、エネルギー価格の上昇は大きな政治的リスクとなる。

 中国はイラン産原油の主要な買い手となっており、米側には中国を通じたイランへの働き掛けに期待する見方もあった。ただ、今回、トランプ氏は習氏にイランへの圧力や米側への具体的な支援は求めなかった。トランプ氏は帰国途上、報道陣に対し「(中国に)恩恵を求めれば、見返りを与えなければならなくなる」と述べており、中国の影響力に期待しつつも、台湾や関税問題で譲歩を迫られる構図は避けたいとの警戒感がにじむ。

 双方の隔たりは、台湾問題でも改めて浮き彫りとなった。習氏は台湾を米中関係の核心に位置付け、中国の「レッドライン」を強調した。一方、トランプ氏は会談後、報道陣に対し「台湾問題を協議したが、何も約束しなかった」と前置きしつつ、台湾への武器売却については自らが決定すると語り、「交渉上のカード」と表現した。台湾問題は、今後も米中関係の重要課題として残された形だ。

 会談のもう一つの焦点は、9月24日に予定されているホワイトハウスでの再会談だ。トランプ氏は北京での晩餐会(ばんさんかい)で、習氏を同日ホワイトハウスへ招待すると明かした。11月の中間選挙まで約6週間という時期に再会談を設定したことは、外交成果を選挙前に国内向けに示す狙いがあるとみられる。

 トランプ氏としては、北京会談を関係安定化の始まりと位置付け、9月の再会談で農産品購入、エネルギー協力、ホルムズ海峡の通航確保などを巡る具体的進展をアピールしたい考えだ。対中強硬姿勢を維持しながら、戦争回避と物価安定を同時に示すことができれば、「中国と直接交渉し、成果を引き出した」との強い指導者像を打ち出せる。

 北京での会談は、特定の大型合意よりも次の会談へ向けた土台作りの意味合いが強かった。米中間の諸課題が残された中で、今回の外交成果の行方は中国側の出方に左右される側面も大きい。こうした中で、中間選挙を控えるトランプ氏にとって、9月の再会談までに、どこまで実質的な進展を示せるかが今後の焦点となる。

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