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ベネズエラ大統領拘束、恐れる中国と日本有事の可能性

戦争学研究家 上岡龍次

米国の襲撃と逮捕後、ベネズエラの首都カラカスでマドゥロ氏の拉致に抗議する支持者たち
米国の襲撃と逮捕後、ベネズエラの首都カラカスでマドゥロ氏の拉致に抗議する支持者たち(UPI)

劇的に動く年末年始

 2025年の年末、中国が台湾を包囲するような大規模な軍事演習が実行された。これに対してアメリカ・オーストラリア・日本は中国の軍事演習を批判する。中国は台湾統一を目標に掲げており台湾侵攻を予告することになった。

 2026年の1月3日にはアメリカのトランプ大統領はベネズエラへの攻撃を開始。するとアメリカ軍は素早くベネズエラ大統領夫妻を拘束した。トランプ大統領はベネズエラの犯罪組織を破壊することを目的としており、同時にベネズエラ大統領を犯罪組織の指導者と見なして拘束した。アメリカがベネズエラ大統領夫妻を拘束すると中国は「アメリカの覇権的行為に断固反対」と批判した。

CIAと軍が連携

 アメリカはベネズエラを攻撃すると同時にマドゥロ大統領を拘束した。これは電光石火の素早さであり、現地の内通者・アメリカの諜報機関CIA・アメリカ軍が連携したことで成功したと思われる。ベネズエラは独裁政治であり中国・ロシアと親密な関係だ。このため中国とロシアはアメリカを批判した。

■中国外務省、ベネズエラ攻撃を非難 「米の覇権主義的行為」と反発
https://mainichi.jp/articles/20260104/k00/00m/030/015000c

・中国 :アメリカの覇権的行為に断固反対
・ロシア:独立国家の主権の尊重は国際法の重要原則であり、これは容認できない侵害だ

 中国外務省によるアメリカ批判はそのまま中国にあてはまる。何故なら中国によるチベット侵攻・東トルキスタン侵攻・南モンゴル・香港に対する行為は覇権的行為だ。さらに中国による台湾統一も覇権的行為になる。

 さらにロシアがウクライナに侵攻したことはウクライナの主権を侵害したことになる。国際政治は勝てば官軍、負ければ賊軍。トランプ大統領は犯罪組織を攻撃すると同時に素早くベネズエラ大統領を拘束した。それに対してロシアは特別軍事作戦と言いながら今も戦争は終わっていない。

中国派・ロシア派を一掃

 トランプ大統領はベネズエラをマドゥロ大統領から政権移行までアメリカが「統治」すると表明した。これの表向きはベネズエラが無政府状態になることの回避。ベネズエラが無政府状態になると犯罪組織の勢力が拡大しベネズエラ国民が苦しむ。だから次の政権への移行までアメリカが統治する。だがアメリカの本音はベネズエラから中国派・ロシア派勢力を一掃することが目的なのは明白。

■トランプ氏、ベネズエラ「運営」を表明-マドゥロ氏乗せた航空機到着
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-01-03/T8AS4GT96OSI00

【国際政治はダブル・スタンダードで行われる(人類の歴史)】
・建前:理想という虚飾
・本音:国益の現実

・アメリカの建前:無政府状態の回避が目的
・アメリカの本音:親米派の政権を作ることが目的

 アメリカはベネズエラから中国派・ロシア派を一掃することが目的だから、ロシアの外交上の味方を減らすことになり、中国に対しては中国の一帯一路構想を破壊することが目的になる。これは習近平国家主席には面子が潰れる思いになるはずだ。何故なら習近平国家主席が一帯一路構想を推し進めたからだ。

セオリー無視の日本侵攻かセオリーに従う台湾侵攻か

 2025年年末の中国は台湾を包囲するように軍事演習を実行した。これは陸戦思想であり海戦思想ではない。海戦思想であれば制空権獲得→制海権獲得→港の確保→上陸作戦がセオリーになる。中国のセオリー無視の軍事演習を見ると、習近平国家主席はトランプ大統領を恐れて台湾ではなく日本の九州・佐世保を突然攻撃する可能性もある。

 海戦思想のセオリーは島伝いの作戦だから、大雑把には台湾占領→与那国島占領→石垣島占領→沖縄占領→九州占領の流れになる。だが習近平国家主席がセオリーを無視して侵攻を優先すると九州・佐世保の開戦奇襲と占領を命じる可能性もある。何故なら仮に成功すれば奇襲攻撃になりアメリカ軍・自衛隊の九州から台湾までの兵站線を遮断できる好機。

 さらに習近平国家主席は陸戦思想と海戦思想の組み合わせを行うこともあり得る。この場合は台湾の東に位置する与那国島・石垣島を開戦と同時に占領する日本有事。中国軍から見ると与那国島・石垣島は台湾の東側から上陸する前の兵站基地にできる。さらに与那国島・石垣島の占領に成功すれば台湾を東西から継続的に攻撃可能になる。

 中国軍に与那国島・石垣島が占領されると台湾有事は日本有事になる。仮に中国軍が与那国島・石垣島を兵站基地にすれば? 中国軍は中国本土だけではなく与那国島・石垣島からの二方向から台湾を継続的に攻撃できる。与那国島・石垣島の空港は台湾攻撃のジャンプ台に最適だから好条件を無視するはずがない。

ミロス島の悲劇

 紀元前のギリシャ世界は都市国家が乱立し次第にアテネとスパルタの対立構造に変化した。そんな都市国家の中でミロス島は非武装中立を唱えており、仮にミロス島が侵攻を受けた場合は「アテネかスパルタに救援を求める」方針だった。だが頼りとしたアテネとスパルタが戦争を開始し、後にペロポネソス戦争(紀元前431-紀元前404)と呼ばれるようになった。

 アテネとスパルタが戦争を開始するとアテネは戦略的価値が高いミロス島を予防占領した。何故なら敵であるスパルタの手にミロス島が渡れば戦略的に不利になる。だからアテネはミロス島を予防占領した。

 非武装中立を選んだミロス島の結末は悲劇だった。屈強な男は殺され女は奴隷として売られた。「中立は武装により成り立つ」。これは現代でも使われる国際社会の戦略的理由であり、憲法9条は紀元前の時代から使えない概念であることを意味している。

 ミロス島の悲劇が示すように、日本が憲法9条を持ち出しても中国は無視する。何故なら憲法9条は日本の憲法であり中国は従う意味がない。さらに中国から与那国島・石垣島を軍事的に見ると戦略的価値が高い。

 敵である日本とアメリカが与那国島・石垣島を兵站基地にすれば台湾の東側を防衛することになり、さらに中国軍による台湾包囲作戦を妨害することになる。このため与那国島・石垣島の戦略的価値は高いのだ。

時間がない習近平国家主席

 私の予測では中国が開戦するのは2026年12月までだと推測している。何故なら中国は、経済の悪化で人民の不満が蓄積されている。人民が怒って易姓革命を起こせば中国共産党の崩壊と同時に自分の死になる。ならば習近平国家主席は易姓革命前に台湾侵攻・日本侵攻の何方かを選択することになる。

 さらに悪いことにアメリカのトランプ大統領はベネズエラの犯罪組織を攻撃し、さらにマドゥロ大統領まで拘束した。イランを見るとイラン国民はイスラム教組織による独裁政治を拒んで反体制デモを継続している。トランプ大統領はイランの治安維持部隊がイラン国民を殺すならアメリカ軍を投入すると警告した。仮にトランプ大統領がイランを攻撃し、イランが革命前のパフラヴィー朝に戻ることになる。

 これは習近平国家主席には悪夢。何故なら習近平国家主席は一帯一路構想を推し進め、ベネズエラとイランも構想に含まれている。トランプ大統領によりベネズエラは一帯一路構想から外れた。ならばイランまで失えばインド・アフリカ・ヨーロッパの一帯一路構想は粉砕される。何故ならイランを中継しているから習近平国家主席には悪夢になる。ここまで習近平国家主席はトランプ大統領に追い詰められているから、2026年の12月までに開戦するだろう。

(この記事はオンライン版の寄稿であり、必ずしも本紙の論調と同じとは限りません)

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