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スロベニアで「自殺ほう助法」問う国民投票

リュブリャナ市内の市場風景(スロバニア観光局サイトから)
リュブリャナ市内の市場風景(スロバニア観光局サイトから)

 南欧に位置するスロベニアの首都リュブリャナからの報道によると、「自殺ほう助法」の是非に関する国民投票が今月23日に実施される。それを控え、複数の宗教団体は12日、記者会見を開き、国民投票に反対票を投じるべきだと訴える共同声明を発表した。

 同国では7月、議会で「自殺ほう助法」が可決されたばかりだ。キリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒の代表者は「自殺ほう助の合法化は尊厳ある人生と尊厳のない人生を区別することを可能にし、高齢者、病人、そして社会的弱者への圧力を増大させる。むしろ、緩和ケアと心理社会的支援の拡充が重要だ」と訴える。

 発表された共同声明には、カトリック司教協議会のアンドレイ・サイエ議長、プロテスタントのレオン・ノヴァク司教、ペンテコステ派と正教会の代表者、ユダヤ教共同体のイゴール・ヴォイティッチ副議長、イスラム教共同体のムフティーであるネヴゼト・ポリッチ師が署名した。

 スロベニアのカトリック教会は10月末、「自発的な終末のほう助に関する法律」への反対を10項目にまとめている。その中で、医師や看護師が合法的に人の殺害に関与することになり、「医療の本来の職業倫理に反する行為となり、患者と医療スタッフ間の信頼関係を破壊する可能性がある」と指摘。さらに、「提案されている法律は、乱用に対する十分な保護策を提供していない」と主張している。

 同国では2024年6月、政府と議会のための拘束力のない国民投票において、有権者の約55%という過半数が、自殺ほう助を合法化する法律に原則的に賛成を表明し、同年7月に国民議会で可決された。この法律は、一定の医学的および行政的条件下で、末期および重篤な成人が自発的に人生を終わらせることを認め、医師が彼らを助ける役割を規制する。本人は致死性の薬剤を自ら服用しなければならない。医師と薬剤師は、この処置への参加を拒否することができる。

 それに対し、カトリック活動家アレス・プリムツ氏が主導する市民社会のイニシアチブは、議会の決定を受けて、この法律に関する国民投票に必要な最低4万人の署名を集めた。

 スロベニアでは、憲法改正を除き、法的拘束力のある国民投票は、既に可決された法律に対してのみ可能だ。国民投票参加者の過半数が反対し、この過半数が有権者の少なくとも20%を占める限り、自殺ほう助法は発効しないことになっている。

 ちなみに、欧州連合(EU)加盟国の中で、「積極的安楽死」を法的に認めている主な国はオランダ、ベルギー、ルクセンブルク、スペイン、ポルトガルだ。 オランダは2002年、世界で初めて積極的安楽死を合法化した。厳格な条件下で、精神的に能力のある16歳以上の患者が対象。ベルギーではオランダと同様に02年から合法。14年には、終末期の未成年者も年齢制限なしに安楽死を要求できるようになった。安楽死の年齢制限を撤廃した同国の安楽死法は世界で最もリベラルといわれている。ルクセンブルクは09年に安楽死と自殺ほう助が合法化された。スペインは21年に安楽死と医師による自殺ほう助を合法化。ポルトガルは23年に終末期患者に対する安楽死を合法化する法律を可決している。

 一方、欧州内の一部の国や地域では医師による自殺ほう助(医師が致死薬を処方し、患者自身が服用する)が認められている。 スイスでは営利目的でなければ自殺ほう助が合法。外国人でも支援団体を通じて自殺ほう助を受けることが可能であるため、デスツーリズム(安楽死の旅)という現象が出ている。そのほか、ドイツは積極的安楽死は禁止されているが、一定の条件下での自殺ほう助は認められている。オーストリアでは2021年に自殺ほう助の禁止が解除され、一定の条件下で合法となった。

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