【サンパウロ綾村悟】ブラジルのルラ大統領は6日、トランプ米大統領とテレビ首脳会談を30分近く行った。ブラジルメディアはルラ氏が、米国によるブラジル製品への追加関税40%を撤廃するよう強く求めた他、両首脳が近く対面で会談することで一致したと報じ、会談を「建設的かつ前向きだった」と評価している。
トランプ氏は7月、ブラジル保守の盟友、ボルソナロ前大統領がクーデター未遂への関与を問われた裁判を「魔女狩り」と批判、制裁としてブラジルからの輸入品に40%の追加関税を発表していた。ブラジル側は主権侵害だと反発、両国関係に深刻な亀裂が生じていた。
電話会談でルラ氏は、今月末にマレーシアで開催されるASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議に合わせ、トランプ氏との対面会談を提案したほか、自身の米国訪問も提案したという。
対するトランプ氏は同日、自身のソーシャルメディアで、「非常に良い電話会談だった」「わが国とブラジルはうまくやっていけるだろう」と述べ、今後の協議や対面会談実施の可能性にも言及した。
ただし現状では、関税の撤回や、ブラジルの司法関係者への米国による制裁を解除すると確約されたわけではない。今回の会談が両国間の亀裂を埋める外交上のリセットにはつながったが、本格的な信頼関係の回復には、時間と実務交渉が必要との見方が専門家からは根強い。





