トップ国際【ワシントン発 ビル・ガーツの眼】米宇宙軍、中国との衝突リスク警戒 「管理されていない競争」懸念

【ワシントン発 ビル・ガーツの眼】米宇宙軍、中国との衝突リスク警戒 「管理されていない競争」懸念

 米宇宙軍の情報当局者が、中国との宇宙空間での衝突の危険性について強い懸念を示した。宇宙での試験や事故などが、大規模な戦闘に発展し、一気に宇宙空間に大量のデブリ(宇宙ごみ)が発生すれば、宇宙の利用そのものが深刻な打撃を受けかねないからだ。

 宇宙軍の情報担当宇宙作戦副部長のブライアン・シダリ准将は9月22~24日に米メリーランド州で開催された「航空・宇宙・サイバー会議」(主催・米空軍宇宙軍協会)で、「最大の懸念の一つは、意図しないエスカレーションが宇宙空間での大規模な衝突につながる可能性があることだ」と述べた。

 シダリ氏は「空域であれば見えるが、宇宙では誰もが見えるわけではない。つまり問題は、統合部隊が実施する作戦、活動、運用によって、…(敵対国から見て)エスカレーションの段階が上がるのか、われわれはそれにどう対処すべきなのかということだ」と述べた。

 中国はすでに複数の宇宙兵器を配備している。衛星を破壊するミサイル実験も行い、数千個に及ぶ危険なデブリを発生させた。さらに、衛星を破壊できるロボット衛星、衛星を妨害するレーザー、宇宙空間の施設を標的とするサイバー能力も持っている。

 こうした兵器による試験や演習は、攻撃の前兆と誤認され、戦争を引き起こす恐れがある。

 そのような危険を抑制するため、宇宙軍は「責任ある活動」、つまり中国やロシアが行ってきたような、危険なデブリを発生させる宇宙ミサイル実験を制限する枠組みづくりに取り組んでいる。電子妨害やレーザー兵器演習についても、エスカレーションの危険性に配慮して実施している。

 シダリ氏は、これは特に中国に関して大きな課題だと述べた。「中国人はわれわれの言うことを信じない。彼らは『見たもの』しか信じない。だからこそ、何が許容範囲かを理解させるために、実際の作戦行動を見せなければならない」と指摘、「それによってエスカレーションの管理が可能になる」と述べた。

 宇宙軍はその危険性を認識しており、演習や訓練の際には常に、エスカレーションを管理し、「双方が互いの責任ある行動を把握できる」ように配慮しているという。

 宇宙軍の情報担当宇宙作戦副部長室の最上級下士官顧問ロン・ラーチ上級曹長も、現在の「管理されていない競争」は極めて危険だと述べた。

 ラーチ氏によると、冷戦時代と同様、現在も中国との間で宇宙空間におけるリスクの高い競争が続いており、それが衛星を破壊する「熱戦」に発展すれば、全地球測位システム(GPS)からウーバーの配車に至るまで、あらゆる分野に影響を及ぼす可能性があるという。

 同氏は「われわれは非常にリスクの高い世界に生きている。最後に実効性のある枠組み、条約が締結されたのは1967年の宇宙条約だが、その内容は『(大量破壊兵器を)軌道上に配備しない』という程度のものだ」と指摘、宇宙に関して法的枠組みが現状に即していないことを強調した。

 現在では、核・通常を問わず多様な宇宙兵器の脅威が存在しており、中国は複数種類の衛星破壊ミサイル、指向性エネルギー兵器、ロボット衛星を保有している。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »