
【ソウル(韓国)】韓国で世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁(82)が23日、逮捕された。保守的な宗教指導者として知られる韓氏の逮捕に、支持者らからは反発の声が上がり、リベラル派の李在明(イ・ジェミョン)政権による前政権への「粛清」との見方が広がっている。
米国家庭連合のデミアン・ダンクリー会長は、「逮捕は、信教の自由そのものに対する攻撃。韓国の全教会、モスク(イスラム礼拝所)、寺院、シナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)への警告であり、政府が信仰を手にかけることができるということだ。『平和の母』を逮捕できるのなら、誰でも捕らえられる」と強く非難した。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が率いていた保守政党「国民の力」の新代表、張東赫(チャン・ドンヒョク)氏は、韓国全土のキリスト教会への家宅捜索を厳しく批判。22日の演説で、李政権を「親中独裁」と呼んだ。
6月に大統領に就任した李氏は、8月の韓米首脳会談で、教会の捜索は前政権に対する「事実確認」のためと正当化。トランプ米大統領は、政治的「粛清」ではないかと疑問を呈していた。
非政府組織「欧州信教の自由フォーラム」のヤン・フィゲル会長も、「宗教団体への弾圧」であり、政治的報復との見方を示した。韓氏の状況について「汚職の取り締まりではなく、粛清だ」と強く非難した。
イタリアの宗教社会学者マッシモ・イントロヴィニエ氏は、「賄賂とされる金額と贈り物の価値は、大国の大統領へのものとしては不釣り合いに低い」と家庭連合への捜索を懸念。その上で、キリスト教会は保守派の尹氏を擁護するグループの一角であり、「(家庭連合を含む)教会への広範な弾圧は、明らかに政治的動機からだ」と指摘した。
一方、韓国政府は前大統領夫妻への捜査を強化している。23日には捜査を30日間延長し、捜査チーム増員の三つの改正法案を承認した。(ワシントン・タイムズ特約)





