
15日の米露首脳会談を経て、18日にホワイトハウスでトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領のほか6人の欧州首脳が一堂に集い会談が行われたことで、ウクライナにおける戦争終結への機運が高まった。「戦後」を見据えた駆け引きが本格化する中、米国、ロシア、ウクライナそれぞれの思惑を探る。(ワシントン山崎洋介)
ホワイトハウスでの首脳会談の合間、急遽(きゅうきょ)プーチン氏と電話会談したトランプ氏は、その後、ロシアとウクライナの首脳会談に向けて調整を始めたと表明。しかし、それから数日後には、実現の見通しは不透明となっている。
「それについて満足はしていない」
トランプ氏はホワイトハウスで、ウクライナにおける米企業の工場を標的としたロシアによる夜間攻撃について記者団から問われ、失望を表明した。同氏が「一定の進展があった」とした米露首脳会談以降も、ロシアによるウクライナへの激しい攻撃は継続している。
これに先立ち、ロシアのラブロフ外相は、米NBCのインタビューで、両首脳間の「会談は予定されていない」と述べた。ウクライナがロシアの要求の一部を受け入れるまでは、会談はないと明言した。
ロシアは戦況で優位に立っていると捉えており、交渉を利用して占領地を拡大したり、ロシア主導のまま交渉停滞させることでウクライナと欧米に譲歩を引き出そうとする狙いがあると考えられる。
これに対し、トランプ氏は、ホワイトハウスで記者団に「どうなるか見てみよう。今後2週間でどの方向に向かうのかはっきりするだろう」と述べ、ロシアの今後の出方を見極める考えを示した。その後の対応については「これは非常に重要な決断になる。大規模な制裁を科すのか、大規模な関税をかけるのか、あるいはその両方にするかだ」と強調。圧力を高め、譲歩を促している。
和平実現のため、トランプ政権は、ウクライナが領土で一定の譲歩をする代わりに、ロシアによる再侵攻を抑止するための「安全の保証」の枠組みを構築することが必要との立場だ。
ウィトコフ中東担当特使は、米露首脳会談でプーチン氏が、米欧がウクライナへの「安全の保証」として北大西洋条約機構(NATO)の条約第5条に類した集団防衛を提供することを容認したと明らかにした。
18日のホワイトハウスでの首脳会議でもこれが主要議題となり、実現に向けて議論が進められた。トランプ氏は、これについての関与を明言し、欧州各国が地上部隊を派遣し、米国は航空面などで支援する枠組みになる可能性を示している。
しかし、「ウクライナの中立化」を求めてきたロシアが、実際に欧米の関与をどこまで容認するかは明確ではない。ラブロフ氏は、ウクライナへの安全の保証に関して「ロシア抜きで解決する案には賛成できない」とけん制している。
ウェズリヤン大学のピーター・ラトランド教授は、「ロシアは、平和維持軍などNATOによるウクライナへのいかなる軍事的プレゼンスも容認できないと繰り返し述べてきた」と指摘。ロシアによる再侵攻を抑止するのに十分な安全の保証の体制を構築することは容易でないとの見方を示している。
領土問題についてもウクライナ側はゼレンスキー氏とプーチン氏の間で協議する用意があるとしているが、ロシア側は東部ドンバスからのウクライナ軍撤退を要求していると報じられるなど、依然として両者の隔たりは大きいとみられる。
困難な道のりが予想されるが、トランプ氏の主導により、プーチン氏とゼレンスキー氏の直接会談やトランプ氏も交えた3者会談が和平への出発点になるという枠組みが生まれたことは間違いない。戦争の早期終結には、この打開の糸口を生かすことが欠かせない。







