
【ワシントン山崎洋介】トランプ米大統領は15日、アラスカ州の米軍基地で、ロシアのプーチン大統領と会談した。会談後の共同記者会見でトランプ氏は、ロシアによる侵攻が続くウクライナにおける問題を巡り「一定の進展があった」と語ったが、幾つかの点では合意に至っていないと表明。両首脳からは停戦や和平に向けた進展について具体的な言及はなかった。
会談を受け、ウクライナのゼレンスキー大統領は18日に米首都ワシントンを訪問し、トランプ氏と会談し今後の対応を協議する。トランプ氏は、会談が順調に進めば早期にプーチン氏とゼレンスキー氏との3者会談を実現させたい意向を示している。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、首脳会談でプーチン氏は、トランプ氏に、停戦の条件としてウクライナが東部2州を放棄することを要求。その見返りとして、プーチン氏はウクライナや欧州諸国を二度と攻撃しないという書面による約束を申し出たという。
ゼレンスキー氏は3者会談を支持する意向を示しているが、これまで領土の譲歩を拒否する立場を繰り返し強調しており、協議が難航する可能性もある。
トランプ氏はプーチン氏との会談を経て、早期停戦を目指す立場から、包括的な和平合意を目指す方針に転換した。プーチン氏の主張に同調した形で、これにウクライナや欧州がどう対応するかが注目される。トランプ氏は16日、自身のSNSで、「悲惨な戦争を終結させる最善策は、持続しないことが多い単なる停戦協定ではなく、戦争を実際に終わらせる和平合意を直接目指すことであると、関係者全員が判断した」と指摘した。
ロシアのウクライナ侵攻後初となった15日の米露首脳会談は、米国からルビオ国務長官、ウィトコフ中東担当特使、ロシア側はラブロフ外相、ウシャコフ大統領補佐官(外交担当)が同席し、約2時間半にわたって行われた。トランプ氏は会談後の共同記者会見で「多くの点で一致した。残りのうち幾つかはそれほど重要でないが、恐らく最も重要な点が一つある。われわれは合意には至らなかったが、そこにたどり着く可能性は非常に高い」と述べた。
プーチン氏は、ウクライナを「兄弟国家」とし、「起きていることすべてはわれわれにとっても悲劇であり、つらい痛みだ。従って、ロシアはこの戦争の終結に強い関心がある」と表明。また、合意を持続的で長期的なものにするには「紛争のすべての根本原因を取り除く必要があり、ロシアの正当な懸念をすべて考慮し、欧州や世界全体の安全保障の公正なバランスを回復するべきだ」と求めた。
両首脳は声明を読み上げると、質問を受け付けずに会見場を後にした。その後、FOXニュースのインタビューでトランプ氏は、プーチン氏とウクライナにおけるロシアの占領地の問題やウクライナの安全の保証について話し合ったと明らかにした。プーチン氏と大部分の点で合意したとし、「それを成し遂げるかはゼレンスキー大統領次第」だと語った。





