トップ国際日本政府はイランの暴走とトランプ大統領による再攻撃に備えよ

日本政府はイランの暴走とトランプ大統領による再攻撃に備えよ

●曖昧なイスラエルとイランの停戦

イスラエルとイランの戦争はイスラエルの先制攻撃で始まった。イランの革命防衛隊は弾道ミサイルでイスラエルに報復。これにより弾道ミサイルと防空ミサイルによる迎撃が激しくなった。イスラエル軍はイラン上空に到達し制空権を獲得する。イスラエル軍は革命防衛隊指導者の排除に成功し核開発施設・軍事施設の攻撃にも成功した。

21日、ホイットマン空軍基地でイラン攻撃への出撃の準備をする戦略爆撃機B2(米空軍提供)

イランがホルムズ海峡封鎖を匂わせるとアメリカ・イギリスはイスラエル防衛に軍隊を派遣する。アメリカのトランプ大統領はアメリカ空軍のB2ステルス爆撃機を投入しイランの核開発施設を攻撃させた。

アメリカの参戦と思われたがトランプ大統領は同時にイスラエルとイランの停戦交渉を行っていた。このためイスラエルとイランの12日間の交戦を巡る停戦は不安定だが成立した。だがイランは核開発を停止する動きを見せず、それどころかイランの最高指導者ハメネイ師はトランプ大統領を怒らせる発言を続けている。これに対してトランプ大統領はイラン攻撃を検討することを公言した。

●トランプ大統領の停戦は時間稼ぎに使われた

イスラエルの先制攻撃で始まったイランとの戦争はイスラエル軍が優勢な状態になっていた。何故ならイスラエル軍はイラン上空に戦闘機を到達させ制空権を確保していた。それに対してイランの革命防衛隊はイスラエルに向けて弾道ミサイルを発射するだけだった。

革命防衛隊が実行した弾道ミサイルによる攻撃は見た目は派手だがイスラエル軍を弱体化することはできなかった。イスラエル軍は完全ではないが防空ミサイルで迎撃し、さらに革命防衛隊は軍事施設よりも民間人の殺害を優先していた。イスラエル軍の攻撃は核開発施設・革命防衛隊関係に限定しており攻撃も正確だった。これで革命防衛隊が弱体化したことは間違いない。

実際にイスラエル軍の戦闘機隊がイラン上空で活動するようになるとイランはホルムズ海峡封鎖を匂わせる。これは世界経済を混乱させる禁じ手。イランがホルムズ海峡封鎖を匂わせると海洋国家アメリカ・イギリスがイスラエル防衛に動く。さらにトランプ大統領がB2ステルス爆撃機を投入しイランを攻撃。

革命防衛隊司令官が次々と排除されイランの最高指導者ハメネイ師も攻撃対象になった。この恐怖を用いてトランプ大統領はイスラエルとイランに停戦交渉を行い強引に成立させた。だがこの停戦交渉はイランの最高指導者ハメネイ師には好都合だった。何故ならイスラエルに敗北する前に停戦し、さらに損害回復を行う好機を得たからだ。

■トランプ氏、イラン制裁解除計画を撤回 必要なら再爆撃も検討
https://jp.reuters.com/world/us/PAB5NFJS6ZL5JNB7DVAZV73FSA-2025-06-27/

トランプ大統領はイスラエルとイランの戦争を12日間で終わらせたので得意になっていた。だがイランの最高指導者ハメネイ師はイランの勝利と核開発継続を表明。さらにイランのアラグチ外相はIAEAの核施設視察を拒否する可能性を示唆した。これは明らかにトランプ大統領を怒らせる言動だ。

■イラン、IAEAの核施設視察を拒否の可能性 アラグチ外相が示唆
https://jp.reuters.com/world/security/4KFI5ZW5LVNARNYJ3CS6L72TBA-2025-06-27/

このためイスラエルとイランの停戦は次の交戦に備えた損害回復の時間に使われていることは明白だ。イランが攻撃と防御を分析して損害回復の最適解を求めるのは当然。第一に制空権をイスラエル軍に奪われたことは劣勢の原因。それでも対応できない場合はホルムズ海峡を封鎖することが世界に対して交渉の武器になり、同時に世界を道連れにできることを再確認した。

●予期される集団的自衛権

トランプ大統領はイランが核開発を続けることを確認したらイランを攻撃することは間違いない。その時は大規模な攻撃になり、ホルムズ海峡の防衛を含めれば複数の国に軍隊の派遣を要請する集団的自衛権の世界になるだろう。結論から先に言えば、トランプ大統領が日本に自衛隊の派遣を要請したら日本政府は派遣すべき。

集団的自衛権の始まりはヨーロッパの白人世界。14世紀から帆船技術の進歩で15世紀から帆船貿易が拡大した。このため市場は海を隔てた遠方まで拡大し、同時に戦争は隣国同士から海を隔てた遠方の国々も関係する。

帆船貿易が始まる前の戦争は当事国と隣国に限定されていた。だが帆船貿易が始まると海を隔てた遠方の国も貿易で自国の国益と関係する。このため遠方の戦争だとしても国益を守るために戦争に参加するようになった。

だがこの時に第三国が戦争当事国の戦争を悪用し火事場泥棒を行った。戦争が終わると戦争当事国が火事場泥棒を行った国に報復。すると報復された国がさらに報復し、連鎖したことでヨーロッパは疲弊した。この経験から自然発生的に時の強国が軍隊の派遣要請を行うと覇権下の国は要請に応じる国際社会のマナーが生まれていた。

簡単に言えば“かくれんぼする者この指止まれ!”。時の強国は現状維持派だから今の平和を否定する現状打破派を敵と見なす。だから時の強国が紛争を解決する目的で軍隊派遣を覇権下の国に要請すると応じる世界。これは軍隊を派遣することで“我が国は火事場泥棒ではない”ことを示す行為。だから湾岸戦争・ソマリア海賊問題・リビア空爆などで複数の国が参加している。


・湾岸戦争(1990-1991)
イラクのクェート侵攻から始まった多国籍軍との戦争。

・ソマリア海賊問題(2008)
日本も補給活動やP-3C哨戒機などを派遣して貢献。

・リビア空爆(2011)
アメリカ・フランス・イギリスが中心になりNATO加盟国も参加。

時の強国の軍隊派遣要請に応じるのは国際社会におけるマナー。国際社会では軍隊を派遣して血と汗を流すから信用が得られる。それは自国が利己的ではなく“自国は利他的な国”であることを宣伝することが目的になっている。さらに国際社会で外交発言権を獲得するには共同の軍事作戦に軍隊を派遣しなければ得られない。これは白人世界のマナーだが使わなければ敵視される。実際に戦前の日本が典型例。

●白人世界が日本を敵視した幣原外交

戦前の中国は分裂し内戦状態。蒋介石は中国の統一を目指し1926年に国民革命軍が北伐を開始した。1927年に国民革命軍が南京を攻略すると外国領事館や居留地で民間人に対する凄惨な暴行を行う。日本は領事館を襲撃され死者も出たが現地の日本軍に反撃することを禁止。

アメリカ・イギリスが中心となり軍隊を派遣して外国人を保護するよう日本にも日本軍派遣を要請した。だが当時の幣原喜重郎は日本単独で蒋介石と交渉することを決定。さらに悪いことに幣原外交とも呼ばれる宥和政策で対応した。

国際法から見るとアメリカ・イギリスの主張が正しく、日本は共同作戦で蒋介石の国民革命軍を撃破して在南京の外国人を救出すべきだった。国際社会は強国のルールに従うのがマナーだから“強国が正義”。このため日本は単独の融和外交を主張せずアメリカ・イギリスに従えば良かった。

幣原外交の寛容と忍耐は中国で生活していた国民の生命財産を守らなかっただけではなくアメリカ・イギリスから信頼を失った。さらにアメリカは日本に対して敵意を持ち日米戦争の遠因にもなった。

●日本人は集団的自衛権を受け入れろ

集団的自衛権は国家の命運を左右する。白人世界のマナーだとしても世界は強国に都合が良いルールで動いている。これが国際社会だから“どんな理屈だ!意味不明だ!”等と駄々をこねることは国際社会を理解できない者の言動。実際に戦前の日本の政治家と官僚は国際社会のマナーを理解せず独自の理屈で対応した。その行き着いた先は白人世界を怒らせ戦争に導いた。

日本では暗黙知の世界である阿吽の呼吸・空気を読むことが求められるが、国際社会のマナーにも暗黙知が存在する。日本にもあるのに国際社会マナーを否定することは間違いだ。この間違いが戦争に導いた悪しき例を理解すべき。

今後アメリカのトランプ大統領がイランの暴走に怒ってイランを攻撃開始すると、ホルムズ海峡防衛を目的として世界に軍隊派遣を要請するだろう。その時の日本はトランプ大統領の要請に応じて自衛隊を派遣すれば良い。集団的自衛権に参加するだけで強国から信頼され外交発言権が得られる。派遣する部隊は戦闘部隊ではなく後方支援が多いのが現状だから“参加することに意義がある”世界だ。今の日本は戦前の政治家と外務省の過ちを繰り返してはならない。

(この記事はオンライン版の寄稿であり、必ずしも本紙の論調と同じとは限りません)

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