トップ国際EU、極右政党台頭に苦慮 欧州委員長、性的少数派イベントを支持

EU、極右政党台頭に苦慮 欧州委員長、性的少数派イベントを支持

28日、ブダペストで実施されたLGBTなど性的少数者の権利を擁護するパレード(AFP時事)
28日、ブダペストで実施されたLGBTなど性的少数者の権利を擁護するパレード(AFP時事)

トランプ旋風が欧州右派後押し

トランプ・ショックへの対応で注目されているのは、独裁者ムッソリーニの流れを汲(く)むイタリアのメローニ首相だ。トランプ米大統領に最も高く評価されている欧州の政治家だ。一方、EUの方針に反発し、ロシアとの関係を維持するハンガリー保守政権のオルバン首相も、欧州委員会のフォンデアライエン委員長の頭痛の種だ。(パリ安倍雅信)

ハンガリーで6月28日に開催されたブダペスト・プライドは、性的少数派LGBTQ+のイベントとしては欧州最大規模(最多記録3万5000人)の祭典となった。主催者らは、今回30回目となるパレードに最大20万人が参加したと主張した。

同国の与党連合は今年、毎年恒例のパレードを禁止するために法律と憲法を改正し、「子供の保護」を理由にLGBTQ+の権利に対する長年の取り締まりを補強した。

オルバン首相は、西欧から流れ込んでいるリベラル思想の影響を最も警戒する保守系政治家だ。同性愛を禁止するロシアのプーチン政権に同調しており、家族の価値を前面に出し、正式結婚した家族に対して住宅購入手当や子育て支援など手厚い保障を行い、人口流出を食い止める政策を実施している。

パレードの前週末、欧州の左派系政治家がブダペストに集まり、パレード禁止を前面に出すハンガリー政府への反対を訴えた。一方、フォンデアライエン氏は「ハンガリー当局に対し、ブダペスト・プライドの開催を許可するよう要請する」というビデオメッセージを寄せた。また、「ハンガリー国内、そして世界中のLGBTQ+コミュニティーの皆さんへ。私は常に皆さんの味方です」と述べた。

これに対してオルバン首相は、即座にソーシャルメディアで反論し、フォンデアライエン氏に対して「加盟国の法執行問題への干渉を控えるよう」求めた。パレードにはスペインのウルタスン文化相、オランダのブルインス教育相、フランス政府代表、欧州主要都市の市長、ベルギーのルポ元首相、アイルランドのバラッカー元首相も参加した。

ハンガリーは21世紀に入りLGBTQ+の権利に関してEU諸国の中で最も擁護する国と見られていた。だが、2010年に発足したオルバン政権は同性婚と養子縁組を即座に禁止し、21年には児童保護法を可決し、当局が同性愛や性転換を描写または促進する児童向けコンテンツを禁止できるようにした。

今年3月、オルバン政権は児童保護を名目に、LGBTQ+コミュニティーを「宣伝または展示」する公共の集会を禁止する法案を可決した。結果的に全国的なプライドイベントの開催を禁止するこの法案は、今回のブダペスト・プライド開催で大きな対立を生んだ。

開催を支持したフォンデアライエン氏だが、左派政党に近い立場というわけでもない。社会党と自由党がLGBTQ+以外でフォンデアライエン氏の政策を阻止すると脅す中、欧州議会の右派多数派と協力することは容易とは言えない。

フォンデアライエン氏は、環境問題や移民問題でトランプ政権発足で勢いづく極右と一定の利害関係を見いだす一方、右派政党は一枚岩でないために実行可能な立法議題を構築するのはほぼ不可能とみられている。実際、欧州議会最大勢力の欧州人民党(EPP)は、フォンデアライエン氏と一致しないことも多く、親ロシア派もいれば、反ロシア派もいる。

欧州連合(EU)議会は、昨年6月の5年に一度の議会選で最大政党グループの中道右派EPPを含む親EU3会派が過半数を維持したものの、EUに懐疑的な右派・極右勢力も伸長し、発言権を増している。フォンデアライエン氏は選挙後、「極左勢力と極右勢力に対抗するとりでを他の(中道派)政党と共に築く」と表明したが、中道派の糾合はますます厳しさを増している。

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