●米中対立を見ない日本政府
トランプ大統領は大統領に就任する前から中国を敵視しているが、就任後もロシアには好意を持つが中国には敵意を隠さない。さらにDOGEを率いるイーロン・マスク氏が3月21日にアメリカのペンタゴンを訪問すると中国との戦争の可能性に備えた戦争計画に関して説明を受けたとの推測が報道された。
イーロン・マスク氏が戦争計画に関して説明を受けたかどうかは真偽不明だが、アメリカと中国の関係悪化を示す報道の最中に3月22日の東京で日中両政府による閣僚級による経済対話が行われた。
●米中関係が悪いことの証
イーロン・マスク氏がアメリカと中国の戦争に備えた戦争計画に関して説明を受けたのか不明。だがトランプ大統領が就任前から中国を敵視していることから戦争に備えている可能性が高いことを示す報道なのは間違いない。
■マスク氏に国防総省で対中戦争計画を説明か、トランプ氏は否定
https://www.cnn.co.jp/usa/35230810.html?ref=rss
■中国、人工衛星同士の「ドッグファイト」を訓練 米宇宙軍
https://www.cnn.co.jp/world/35230807.html
アメリカ宇宙軍は3月18日の国防関連会合で中国が人工衛星同士の「ドッグファイト」の訓練を行っていると明らかにした。これはアメリカが中国を監視していることを中国に伝えると同時に中国の軍事強化が戦争に繋がることを匂わせる発言になった。
太平洋に浮かぶテニアン島は第二次世界大戦で日本への原爆投下の出撃地となった。テニアン島は1946年以後から運用が停止され放棄された。だが2025年1月には再整備されている。テニアン島の位置から中国との戦争に備えていると推測されており、アメリカが中国を警戒していることは間違いない。
●地政学的な対立
アメリカは中国との戦争に備えているが日本政府は能天気。海洋国家アメリカと大陸国家中国の地政学的対立が激化しているのに、海洋国家日本は大陸国家中国との関係強化を進めている。これは海洋国家アメリカから見れば同じ海洋国家日本の裏切り行為になる。
■中国、トランプ関税で秋波も日本は慎重「対米で連携はならず」 日中ハイレベル経済対話
https://www.sankei.com/article/20250322-3EHHYNQAYNP35BVSFAD24ZMX4A/
地政学から国家を見ると男女のような性別が存在する。地政学を簡単に言えば生活環境が人間の思考と行動を先決的に規制する。これを地図に乗せることで行動を把握するもの。歴史から見れば大陸国家は国内は独裁で国外には民主的であり、海洋国家は国内は民主的で国外には独裁的と対象的な違いを見せている。
・大陸国家:国内は独裁で国外には民主的
・海洋国家:国内は民主的で国外には独裁的
・大陸国家:必要性で思考する
・海洋国家:可能性で思考する
中国は国内で独裁的になり国外には民主的に振る舞う。それに対してアメリカは国内では民主的であり国外には独裁的に振る舞う。この現象は紀元前のペロポネソス戦争で戦争した大陸国家スパルタと海洋国家アテネの対立関係と同じ。
●現実を見ない日本政府
日本政府は地政学を知らないのかアメリカよりも中国を優先して見ている。仮に日本政府が地政学を知っていれば同じ海洋国家アメリカとの関係を強化して中国に挑むことになる。何故なら同じ海洋国家として同じ価値観だからアメリカと連合して政治・経済・軍事で中国に挑む。
それなのに日本政府は隣国だから仲良くなれると誤解している。隣国の中国・北朝鮮・韓国・ロシアは大陸国家であり日本は海洋国家。このため隣国だとしても価値観が異なるから仲良くなることは100%あり得ない。さらに隣国だから仮想敵国であり油断すれば日本の国土が奪われる立場。
実際に中国は日本の尖閣諸島を狙っており、日本国内の軍事施設周辺で中国人が土地を買い安全保障上の危機になっている。日本政府が隣国だから仲良くなれると思っても中国は日本を敵視している。このことを理解せず中国に接近するとトランプ大統領から裏切り者と断定され潰されるだろう。
仮にトランプ大統領が日本政府を海洋国家の裏切り者として潰せば、親中派を一掃できて日本の安全が得られるので国民として都合が良い。悲しいことに今の日本はトランプ大統領による外圧で正しい道に導かれる可能性しか残されていない。
●何故戦争は発生する?
3000年の戦争史から見ると「怨念は戦争の卵」。怨念は価値観の違いから生まれ価値観は経験から生まれる。世界各地の国は自然環境に対応して生きる経験が異なるので各国は価値観が異なるのが普通。
さらに自分は正しくて相手が間違っていると見るから戦争になる。それに対して自分が間違っており相手が正しいと見れば戦争にはならない。しかし自分を否定すれば奴隷になるか自殺を意味する。誰もが自分が正しいと見るから人類は戦争を止められない。
地政学も人間の経験則で生まれ国家間の対立関係も紀元前の時代から変わっていない。そして戦争の社会構造的原因の一つは「国力と覇権の不均衡」。これは中国が世界の頂点である強国になるために今の強国アメリカに挑戦することで戦争になる。
アメリカ宇宙軍が警戒しているように、中国の軍事強化がアメリカに接近することでパワーバランスが崩れてしまう。アメリカは警戒しているから放棄されたテニアン島の基地を再整備し戦争に備えている。それに対して日本政府は戦争を見ていない。
このまま進めば日本はペロポネソス戦争前に予防占領されたミロス島の悲劇を繰り返してしまう。ミロス島は戦争が発生したらアテネかスパルタに助けを求める方針だったが頼みの双方が戦争開始。アテネはミロス島がスパルタに占領されないために予防占領した。占領されたミロス島の男は殺され女子供は奴隷として売られた。
日本政府は歴史から学び自衛隊を強化して同じ海洋国家アメリカと連携して中国に挑むべきだ。隣国は大陸国家ばかりで日本を敵視している。そんな国と連携すればトランプ大統領は日本政府をミロス島のように扱う可能性を理解すべきだ。
(この記事はオンライン版の寄稿であり、必ずしも本紙の論調と同じとは限りません)