トップ国際石破・トランプ関係の行方は

石破・トランプ関係の行方は

トランプ政権が発足したが、中国への追加関税10%、メキシコとカナダへの関税25%の導入など、諸外国からは既にトランプアメリカへの警戒が広がっている。また、レガシー作りとしてウクライナや中東の紛争を解決に導く意思も強く示しているが、特にウクライナ戦争ではロシア軍が占領する現状での終戦が念頭にあるとされ、欧州との間に再び亀裂が生じることが懸念される。

おそらく今後の4年間、我々は幾度もトランプ節が炸裂する場面を目撃することになろうが、言うまでもなく日本にとって米国は唯一の同盟国であり、トランプアメリカとも良好な関係を維持する必要がある。では、石破政権はどうやってトランプ政権と良好な関係を構築する必要があるのか。これについては、既に様々な意見が示されているが、以下二つの点が重要であると考える。

●対米最大の投資国、日本

まず、日本が世界最大の対米投資国であるという点だ。トランプ大統領は米国を再び偉大な国家にする(MAGA)という目標を達成するため、関税をちらつかせ、行使することで諸外国から最大限の譲歩や利益を引き出し、外国の紛争などによる米国への影響を最大限抑え、米国の政治的安定と経済的繁栄を追求する。

そして、トランプ大統領は同時に米国への投資、生産強化などを外国へ訴えているが、要は、米国に貢献しているという事実をアピールすることは、トランプ大統領から信頼を獲得する上で重要なこととなる。

日本は2019年以降、5年連続で世界最大の対米投資国家であり、日本製鉄による買収阻止の問題はあるものの、米国に資金面で貢献していることはMAGAにもフィットするものである。これは間違いなくトランプ大統領から歓迎されるポイントであり、日本としては国益の観点からここをテクニカルに訴えることが重要となる。

●日本は米国にとっての対中防波堤

また、日米同盟の強化は対中国の一環となるという点だ。トランプ大統領はMAGAを追求すると同時に、米国が政治経済的に最強国であることにも強い拘りがあり、中国に対する優位性を確保することに徹する。

無論、中国に対する関税強化は貿易収支の面で米国の優位性を復活させようという狙いの一環であるが、これは安全保障面でも同様だろう。地政学上、日本は中国の太平洋進出を抑える防波堤のように位置しており、西太平洋で軍事的覇権を握る米国にとって日本が最重要パートナーである事実は、トランプ政権になっても変わるものではない。

日米同盟の役割は、ソ連による南下防止から漂流化時代を過ぎ、21世紀以降は明らかに対中国を念頭に置いたものになっており、米国にとって日米同盟を強化すること自体が対中国となるのである。

要は、日本としては日米同盟の強化が対中国の一環になることをトランプ大統領に訴えることができれば、トランプ大統領が日米同盟の強化で率先的に動いてくる可能性が考えられよう。

(この記事はオンライン版の寄稿であり、必ずしも本紙の論調と同じとは限りません)

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