
【ワシントン山崎洋介】世界における宗教の自由を促進することを目指す「国際宗教自由(IRF)サミット」が米首都ワシントンで4日から2日間の日程で始まった。夕食会では、日本政府が解散命令を請求した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐり、元高官らが信教の自由が侵害されているとして、トランプ新政権の対応に期待する声が相次いだ。
同サミットの共同議長で、米政府諮問機関「米国際宗教自由委員会(USCIRF)」の委員長を務めたカトリーナ・ラントス・スウェット氏は、パネルディスカッションで、家庭連合に対する日本政府の対応について「一つの信仰コミュニティーを攻撃する執拗な欲望」によって、「民主主義の根幹である法の秩序や、法の下の平等を放棄しようとしていると」と懸念を表明。その上で、トランプ政権について、「政策目標を達成するためには、最大限の圧力を行使することを示している。必ずしも礼儀正しいやり方ではないが、それは成果を生む可能性がある」と指摘し、「宗教の自由のために日本に対しても強い圧力を行使することを期待している」と表明した。
またニュート・ギングリッチ元下院議長がビデオメッセージを寄せ、米国務省が2023年度版の信教の自由に関する年次報告書で、同年10月の解散命令請求が「従来の基準から逸脱して、民法上の不法行為を基に命じられた」と指摘していることに言及。また、昨年に国連が、日本の行動が国連人権宣言に反しているとする勧告を発したとも強調した。
その上で、「バイデン政権や国連が、すでにこの問題について非難してきた。そして今、トランプ氏という、宗教の自由に深い情熱を持って取り組む人物が大統領になった。日本の政治で起きていることは、米国と日本の関係に重大な影響を及ぼすだろう」と述べ、この問題が今後の日米関係に影響を及ぼすとの見方を示した。

パネルディスカッションでは、文部科学省による陳述書捏造疑惑についても議題になった。イタリアのオンライン宗教専門誌『ビター・ウィンター』ディレクター、マルコ・レスピンティ氏が「これは事実か」と問題を提起すると、家庭連合日本本部法務局の近藤徳茂副局長は「その通りだ」と述べた上で、「政府が捏造された証拠に基づいて宗教団体を解散させようとしたことは、非常に憤慨すべきことだ」と語った。
夕食会は、ワシントン・タイムズ財団と天宙平和連合(UPF)が協賛。パネルディスカッションではこのほか、国際弁護士の中山達樹氏やフランスの国際人権弁護士パトリシア・デュバル氏も発言した。
家庭連合の田中富広会長は、岸田文雄前首相が一夜で法解釈を変更し、解散理由に「民法による不法行為」まで含めたことについて、「日本政府は、越えてはならない一線を越えた」と指摘。米国の関係者からの支援を得ながら「日本の信教の自由と民主主義の危機を克服する決意」だと述べた。
夕食会の最後に、参加者たちは日本に信教の自由の擁護を求める声明文に署名。その中で、安倍晋三元首相の暗殺事件後、「さまざまな勢力が日本における宗教信者の人権の解体に着手している」ことへの深い憂慮を表明した。

