【ミルウォーキー(米ウィスコンシン州)山崎洋介】米共和党全国大会の三日目が17日、米中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーで行われ、副大統領候補に正式指名されたJ・D・バンス上院議員(39)が指名受諾演説を行った。激戦州となる「ラストベルト(さびついた工業地帯)」地域の有権者を意識し、労働者を重視する考えを強調。トランプ前大統領(78)とともに「米国第一主義」を推進することを誓った。
バンス氏は、トランプ氏が13日にペンシルベニア州で銃撃を受けた直後、聴衆の前でこぶしを突き上げたことについて、「トランプ氏があのペンシルベニアの野原で立ち上がったとき、米国中が彼とともに立ち上がった」と指摘。その後、トランプ氏が団結を呼びかけたことについて「私もその呼びかけに応えたい」と述べ、副大統領への指名を正式に受諾すると宣言した。
ラストベルトにある中西部オハイオ州出身のバンス氏は、ワシントンの支配階級から「見捨てられ、忘れられた場所」で育ったと強調。「職業政治家」であるバイデン氏が、過去に北米自由貿易協定(NAFTA)や中国との貿易協定、イラク戦争を支持してきたことにより、「雇用は海外に行き、子供たちが戦争に送られた」と批判した。
これに対し、トランプ氏は、「ジョー・バイデン氏ら腐敗したワシントンの有力者たちによる数十年にわたる裏切りを、4年という短期間で覆した」と称賛した。
また「ウォール街のご機嫌取りはもう終わりだ。我々は労働者にコミットする」と述べ、労働者重視の立場を強調。「私たちを憎む国からエネルギーを買うのはもうやめよう。ペンシルベニア州やオハイオ州、そして全米の米国人労働者からエネルギーを調達するのだ」と述べ、エネルギー自給率を高める考えを示した。
バンス氏はまた、「同盟国が世界平和を確保するための重荷を分かち合うことを確実にする」とも述べ、安全保障において「タダ乗り」はさせないと強調。海外への軍隊の派遣は「必要な時だけ」行うとする一方、「トランプ氏がIS(イスラム国)を撲滅させたように、叩く時は強く叩くだろう」とも述べた。その上で「肌の色が何であれ、米国市民を第一に考える。つまり、米国を再び偉大な国にするのだ」と訴えた。
共和党大会は18日に最終日を迎え、トランプ氏が大統領候補の指名受諾演説を行う。