【ミルウォーキー(米ウィスコンシン州)早川俊行】米共和党大会で副大統領候補に正式指名されたJ・D・バンス上院議員は、17日の指名受諾演説で、労働者階級の利益を最優先する「庶民派」のイメージを前面に押し出した。中国に対しては厳しい認識を示し、トランプ政権が再び発足すれば、1期目と同様、対中強硬路線が敷かれる見通しが強まった。
「(私の故郷は)ワシントンのエリート階級に見捨てられ、忘れられた場所だ」。バンス氏は中西部オハイオ州の田舎町で苦しい生活を送った自らの体験を振り返りながら、国民生活の実情を深く理解していることを訴えた。
取り残された地域では薬物が蔓延し、バンス氏の母親も薬物中毒に苦しんだ一人。バンス氏が会場で演説を見守っていた母親を10年薬物から離れていると紹介すると、会場から盛大なスタンディングオベーションが巻き起こった。米国では近年、合成麻薬「フェンタニル」が深刻な社会問題になっており、多くの国民がバンス氏の境遇に共感したことは間違いない。
11月の大統領選では「ラストベルト(さび付いた工業地帯)」と呼ばれる中西部が勝敗を左右することから、演説は労働者階級の支持拡大に重点を置いた内容となった。明確な保守哲学を持つバンス氏は、既に民主党から危険視されており、保守色を抑えて有権者の警戒感を和らげる狙いもあったとみられる。
一方、外交政策に関する言及は少なかったが、中国に厳しい認識を持っていることは鮮明になった。「中国とカルテルが国境を越えてフェンタニルを送り込んでいる」と批判したほか、「中国共産党が米国民を犠牲にして中産階級を築くのを阻止する」と明言した。
同盟国に対しては負担の共有を求め、「ただ乗り許さない」と強調。再びトランプ政権が誕生すれば、日本も負担拡大、自主防衛力の増強が求められる可能性もある。