①ロシアがウクライナ侵攻
ロシアが2月24日、隣国ウクライナに軍事侵攻した。ロシアのプーチン大統領は米国主導の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を非難し、侵攻はウクライナ東部の親ロシア派保護などを目的とした「特別軍事作戦」と正当化。ロシア軍の残虐行為や、プーチン氏が繰り返す核威嚇に国際社会は戦慄(せんりつ)した。
圧倒的軍事力を持つとみられていたロシアは短期間での首都キーウ(キエフ)制圧に失敗。欧米の支援を受けるウクライナが反転攻勢を強め、占領地を相次ぎ奪還した。プーチン政権は9月、部分動員令を発出し、ウクライナ東・南部4州の「併合」を強行したが、劣勢が続く。両国軍の死傷者は計20万人以上との推計がある中、停戦交渉は頓挫しており、先行きは見通せない。
②中国で習政権3期目発足
10月に中国共産党大会が開かれ、習近平政権が3期目入りした。1980年代末以降に最高指導者となった江沢民、胡錦濤両氏は2期10年の原則に従ったが、習氏は自らに権力を集中させ、4期目以降も視野に入れているもようだ。一方で、厳格な行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策に対して、11月に北京を含む各地で抗議活動が行われ、習氏の強権的な手法への反発も表面化した。
2012年に党総書記に就いた習氏は反腐敗闘争で政敵を次々と失脚させ、2期目は18年の憲法改正により国家主席の任期制限を撤廃。3期目の最高指導部は、経済政策などで習氏と路線が異なる李克強首相が外れ、習氏に近い人材で固められた。27年までの3期目で、台湾統一に向けた動きが具体化するか注目される。
③米議長訪問で台湾情勢緊迫
ペロシ米下院議長が8月、米下院議長としては25年ぶりに台湾を訪問した。これに猛反発した中国は台湾への軍事的威嚇を強化し、台湾を包囲する形で大規模軍事演習を実施したほか、台湾産農水産物の輸入停止などの経済制裁も発表した。
11月の米中首脳会談では、習近平国家主席が台湾問題について「越えてはならないレッドライン(譲れない一線)」と強調。議論は平行線をたどった。米国防総省が同月末に公表した中国の軍事・安全保障分野の動向に関する年次報告書は、中国が「台湾海峡周辺で挑発的かつ不安定化させる行動を増加させた」と指摘。今後も軍事的選択を取る可能性があるとして、台湾侵攻への危機感を強めている。