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ロシアのショイグ国防相は、ウクライナ軍が攻勢を強める同国南部へルソン市からの撤退を発表した。プーチン大統領が9月に一方的に併合を宣言した4州の一つへルソン州の州都だ。ロシアが伏兵を残し市街戦になることをウクライナ側は警戒しているものの、奪還されればプーチン氏にとっては大きな痛手となる。
いまやロシア軍の苦境は隠しようがないようだ。予備役を中心にした1個大隊500人以上が全滅したとの情報もあった。
そういう中、今後最も懸念されるのが、苦境に立つロシア軍が核兵器を使用することである。戦況の悪化、犠牲者の増大で政治的にも追い詰められたプーチン氏が、核攻撃に踏み切る可能性は低くないとみる専門家は多い。
フランスのマクロン大統領は先月、テレビのインタビューで「ウクライナとその周辺が核で攻撃されても、フランスが核で反撃する事態には該当しない」と発言した。この不要な発言はNATO(北大西洋条約機構)の加盟国から「自国の安全保障しか考慮していない」と批判されたが、それだけでは済まないだろう。
ウクライナ危機が叫ばれていた当初、バイデン米大統領が早々に不介入を宣言したことが、プーチン氏による侵攻決断の引き金の一つとなった。マクロン発言も、ロシアに核兵器を使ってくださいと言っているようなものだ。
バイデン氏同様、国内向けのアピールが世界的な悲劇を生まないことを祈るばかりだ。