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1941年8月、ルーズベルト米大統領とチャーチル英首相は、カナダ東部ニューファンドランド沖の英艦上で会談し、「大西洋憲章」を発表した。第2次大戦と戦後世界に対する基本的な態度を明らかにしたもので、領土の不拡大、民族自決、貿易障壁の引き下げなどを謳(うた)っている。
戦後の大英帝国の解体、「関税貿易一般協定(GATT)」などはここから派生した。大戦勃発から2年も経過しておらず、ドイツのロシアでの攻勢が続き、米国はまだ参戦もしていなかった。
そんな段階で連合国側の勝利を信じ、戦後世界の構想を描いていたのだ。アングロサクソン恐るべしというべきか。
ロシアのウクライナ侵攻開始からきょうで3カ月。日米首脳会談では国連安全保障理事会の改革についても話し合われ、バイデン大統領は日本の常任理事国入りに支持を表明した。
もちろん、安保理改革が簡単にいくとは思われない。しかし国連憲章の精神を踏みにじり、力による一方的な現状変更、領土の拡大を行おうとしているロシアが、このまま常任理事国であり続けることはもはや悪い冗談というしかない。いずれにしても機能不全の安保理の改革がなされない限り、国連は世界の平和と自由を守る機関とはなり得ない。
ウクライナ戦争終結後の平和を守るため、ロシアのプーチン大統領の人道と文明への挑戦に対して、二度とこのような試みがなされない世界秩序を今から構想しておく必要がある。