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監禁で「解かれた」と


“拉致監禁”の連鎖(208)パート
「青春を返せ裁判」法廷証言から(8)
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マーガレット・シンガーを取り上げた増田善彦著『「マインド・コントロール理論」その虚構の正体』(光言社刊)

 原告や原告側証人の中には、拉致監禁されたものの、結果的に「マインド・コントロールを解かれた」という趣旨の証言をしている人がいる。井上しげ子さん(仮名)は平成12年3月7日の被告側代理人の尋問で、次のように答えている。

代理人 脱会されたときは、(札幌市)東区のアパートに連れて行かれたんですね。

 (中略)

代理人 入り口のドアにはカギが掛かって、そうすると簡単には、自分が出たいと思っても出られなかったわけね。

井上 家族は出してくれないという状況でした。

代理人 その部屋っていうのは、何DKぐらいの部屋でしたか。

井上 2DKぐらいでしょうか。

代理人 部屋には、どなたか一緒に寝泊りしましたか。

井上 はい。

代理人 10日間ぐらい監禁されたんでしょう。

井上 はい。

 (中略。監禁中、棄教の説得にきた人たちの話を信じて、脱会を決めるくだりが続く)

代理人 (説得に来た人の話が真実かどうか確認する必要を)なぜ感じなかったんですか。

井上 原理は真理ではないと自分で判断できたからです。

代理人 じゃあそれは、あなたはパスカルや田口(民也、共に脱会屋)たちに、文字どおりあなたが言っているマインドコントロールされたということになりはしませんか。

井上 解かれたと思っています。

代理人 解かれた。

井上 はい。

代理人 何か解かれたんですか。

井上 統一協会で受けたそういう、長い時間かけて受けたマインドコントロールを解いてもらったと思っています。

代理人 解かれた結果、別な考え方に、またマインドコントロールされたと、自分では思わない。

井上 思いません。

 日本で「マインド・コントロール」という言葉がしばしば使われるようになったのは、平成5(1993)年、新体操の選手で元統一教会員だった山崎浩子さんの退会が機だった。

 その「マインド・コントロール」を主唱したのは米国の心理学者、マーガレット・シンガーで、1983年に米国心理学会(APA)に委嘱されて研究。「日常的な説得技術の積み重ねにより、しかも本人に自分がコントロールされていることを気付かせることなく、強力な影響力を発揮し、個人の信念を変えてしまう」とその存在を報告した。

 しかし、1987年、APAは科学的裏付けを欠くとして、その報告書自体の信憑性を否定した。

(「宗教の自由」取材班)