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新潟大学が創設した「日本酒学」の初回の…


 新潟大学が創設した「日本酒学」の初回の講義は、教室に学生があふれ立ち見する人も出るほど関心を集めた。予定定員の3倍近い約820人が履修を希望したという。

 日本酒学という名称の物珍しさもあろうが、学生は情報に敏感で、今、日本酒が世界で注目されるようになったという事実を見逃さないようだ。優れた醸造・発酵の技術の知識を身に付けたいという工学部の学生の履修も。

 古来わが国の美称として「瑞穂の国」という言葉が使われ、みずみずしい稲と良質の水から造られた酒は神聖なもの、めでたいものとして扱われた。百薬の長でもある。わが国の風土と地域の伝統が培った醸造技術が相まって、各地に自慢の清酒が生み出された。

 今回、教える側は「総合大学としての特長を生かし、日本酒を世界へ発信できるよう努めたい」(高橋姿同大学学長)と抱負を語っている。世界に広がるワイン学を見据えているのかもしれない。

 一方、飲酒の弊害は今も決して小さくない。日本社会は酒の上での失敗に寛容で、大酒飲みを「豪傑」と呼んだりしたこともあった。しかし酒に溺れ、種々の社会的家庭的な悲劇が繰り返されている。

 国の統計では、アルコール依存症の患者数が増えている。特にキッチンドランカーや女性の依存症が増え、酒による悲劇が顕在化しにくくなっている。酒は飲んでも飲まれるな、という。日本酒学の講義では酒害の実相について語ることも願いたい。