世界日報 Web版

福井中2自殺、生徒追い詰めた責任は重い


 福井県池田町立池田中学校2年の男子生徒が今年3月、校舎3階の窓から飛び降りて自殺した。同町教育委員会が設置した調査委員会は報告書で、自殺の原因を課題提出の遅れなどで担任と副担任から立て続けに強い叱責を受け、精神的なストレスが大きく高まったためと結論付けた。

 生徒に適切な対応をせず、自殺に追い込んだ教員や学校の責任は極めて重い。

 叱責で過呼吸の症状も

 生徒会の副会長を務めていた生徒は、マラソン大会の準備が遅れたため、担任から校門前で身震いするくらい怒鳴られたという。副担任に未提出の課題について叱られると土下座しようとした。

 自殺する1週間前には「僕だけ強く怒られる。どうしたらいいか分からない」と母親に訴えていた。自殺前日に叱責を受けた際には過呼吸の症状に陥っていたが、学校から家族に連絡はなかった。母親は「知っていれば(学校に)連れて行かなかった」と述べている。

 生徒の自殺後、母親は「教員によるいじめだ。他の先生も見て見ぬふりをした」と強く非難した。遺族の気持ちは察するに余りある。

 学校では確かに、生徒に対して厳しい指導が必要な時もあろう。しかし、担任と副担任の叱り方は明らかに行き過ぎだ。現在、副担任が担当している1年生のクラスの女子生徒も叱責によって断続的に欠席しているという。

 担任は教務主任から指導方法を考えるよう言われた時に「手加減している」などと答えた。生徒が精神的に追い詰められていたことが分からなかったのだろうか。

 担任が家庭訪問した際、生徒の祖母は「傷つきやすい子だから気をつけて」と述べ、自殺などへの注意も促したという。だが、担任は副担任に特に話をしなかった。

 担任から「副担任の指導が生徒の気持ちをくんでいない面がある」と報告を受けた校長や教頭も特段の指示はしなかった。生徒に適した対応が取られなかったのはなぜなのか。徹底検証しなければならない。

 今回のように教員の叱責をきっかけに児童・生徒が追い詰められ、自殺するケースは「指導死」と呼ばれる。2012年に大阪市立桜宮高でバスケットボール部顧問の教諭から体罰を受けた男子生徒が自殺した問題も、これに当たる。1989年から2016年の間に70件が確認されている。

 指導死は体罰を伴わないケースが多いため、表面化しにくいとされる。生徒や保護者は教員との関係に配慮し、教員とのトラブルを明かしにくいことも背景にあろう。

 個性に合った指導を

 調査委の報告書は「生徒の性格や行動の特性、気持ちを理解しないまま、担任は大声で叱責するなどし、副担任は執拗な指導を繰り返した」と指摘した。すべての教育関係者が、重く受け止める必要がある。

 教員には生徒一人ひとりの個性を見極め、それぞれに合った指導や対応をすることが求められよう。