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「子供の貧困」が現代社会の“通奏低音”と…


 「子供の貧困」が現代社会の“通奏低音”として流れている――と言った社会学者がいたが、確かにそうだ。貧困家庭で暮らす子供は、大学進学率やその後の年収も低くなる傾向があり「貧困の連鎖」が懸念される。

 2012年現在、日本の子供の貧困率は16・3%だが、1人親家庭に限るとその割合は54・6%に跳ね上がる。1人親家庭を増やさないように、健全な結婚をし、豊かな家庭生活を営めるよう教育や施策を進めることが必要だ。

 文部科学省は、学校をプラットフォームとした総合的な子供の貧困対策として、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー(SSW)の配置を進めている。前者が「心の専門家」であるのに対し、後者は「環境調整専門家」と呼ばれる。

 母子家庭、経済的問題、家庭内暴力、児童虐待、発達障害など、学校教員だけでは対処できない複雑な問題を、各専門機関と連携し早期解決に導いていくSSWの役割は大きい。15年度にSSWが支援した児童生徒は5万7913人。相談件数は、この3年間で約1・5倍に増えている。

 SSWは原則、社会福祉士、精神保健福祉士などの資格が必要だが、福祉と教育の両面の専門的知識を持つ人材は不足しており、教員OBを配置している所もある。

 地域には埋もれた人材が少なくない。かつて教育関連職に就いていた人たちに、その経験を生かして子供たちのためにもうひと働きしてほしいものだ。