世界日報 Web版

男の育児休暇


 育児休暇取得を訴えた国会議員の女性問題がニュースになっている。政治家が育休を取ることの是非はともかく、子を大切にするイクメンどころか正反対だったのだから、非難は免れない。もちろん今回の件と育児休暇の問題は直接には関係ないが。

 筆者に子供が生まれた当時、男性の育休などほとんど考えられなかった。わが家では「3歳までは家庭で育てる」を夫婦の合言葉に、保育園には預けず、妻が専業主婦となって子育ての大部分を担った。筆者も可能な限り子供と関わったつもりだが、振り返ると妻の支えにはなれなかったと反省するしかない。それでも子育てで人生観が大きく変わったのは確かだ。

 地方都市に住む知人は育休を取ったが、その地域で男性の育休の前例がほとんどなかったため、メディアにも取り上げられたという。厚労省の調査では平成26年度、男性の育児休暇取得率は2・30%。政府は32年までに13%に引き上げることを目標にするが、育休中の所得をどの程度保障するかなど課題も少なくない。

 ただ、筆者は今の育休議論では別のことも感じている。「父親が育休を取って何をするのか」までは議論されていないように思う。もちろん子育ての喜びと苦労を妻と分かち合い、妻を支えることが一番。少なくとも子供が乳幼児期にはそれ以上考える必要はないのかもしれない。

 それでも、母親と父親が子育てで果たす役割は違う。例えば、父親の役割は社会性を身につけさせること、などと言われてきた。「困難に自力で立ち向かうことのできる存在へと発達するために、『同行二人』のような形で、子どもを見守り、必要に応じて手をさしのべ、前方へとふみだす手助けをしてやるのが、父性の最大の任務」(正高信男著『父親力』)。男性の育休を、こうした父性、父親力を振り返る機会にしてもいいのではないか。(誠)