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児童ポルノ、子供を守る決意新たにしたい


 児童ポルノの「単純所持」に対して来月15日から、罰則が適用される。所持を容認するわが国には、児童買春・児童ポルノ禁止法の成立当時から国際的な批判が出ていたが、これで児童ポルノ撲滅への努力は一歩前進することになる。これを契機に、この卑劣な犯罪から子供を守る決意を新たにしたい。

「単純所持」に罰則適用

 昨年7月15日施行の改正法は「自己の性的好奇心を満たす目的」で所持することを禁じ、違反した者に1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科すことを盛り込んでいる。ただ、既に所持している者に自主的な廃棄を促すため、1年間は罰則を適用しないことにしていた。

 改正以前の同法は、販売や陳列などでの所持は禁じていたが、“趣味”で持つことは規制の対象外だった。しかし、所持を認めていては需要を断てず、被害児童は減らない。このため、所持するだけでも犯罪とするのは国際的な流れになっている。米国務省が公表した人権報告書も、わが国が同法を改正して所持禁止にしたことを評価した。

 所持を禁じるべきだとの声は、平成11年の同法制定当時から出ていた。その後、16年に罰則の強化などの改正が行われたが、残念なことに、法は厳しくなっても被害を受ける子供は増え続けている。

 昨年、同法違反での送致件数は1828件。前年より184件も増えている。しかも、17年と比べると、3・9倍という急増ぶりだ。被害児童も昨年は、25年の646人から100人増えて746人に達した。10年前の3倍だ。

 被害児童の低年齢化もみられる。昨年は未就学児31人が犠牲になった。被害に遭った子供の心の傷を思うと怒りを禁じ得ない。所持への罰則適用をきっかけに、子供を性欲の対象にする風潮を一掃する運動に官民協力して取り組むことを求めたい。また、画像や動画は一度インターネット上に流れると回収不可能となり、被害児童は一生苦しむことになる。子供の心のケアに力を入れることも忘れてはならない。

 児童ポルノ事件をはじめ、性犯罪の被害に遭う子供が増えている。背景には、スマートフォン(スマホ)などの通信機器の発達と未成年者への普及、そして映像機器の小型化がある。昨年1月に検挙された契約社員の男(当時31歳)は、ゲームアプリで知り合った被害女児(小学生)に裸の画像を送るよう要求。通信機能付きの携帯音楽プレーヤーのカメラで撮影した画像を画像交換アプリに送信させた。

スマホの危険性認識を

 また昨年7月には、当時48歳の無職の男が、公衆浴場の男性用脱衣場で、腕時計型ビデオカメラを使って女児2人の裸を盗撮し児童ポルノを製造している。このほか、子供に自分の裸をスマホで撮影させ、その画像や動画を無料通信アプリのLINEで送らせて、それをまたLINEで公開するといった事件も起きている。子供にスマホを安易に与える保護者が少なくないが、その危険性を認識し、有害情報を遮断するフィルタリングを必ず使わせるなどの注意を怠ってはならない。

(6月30日付社説)