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コロナで普及したデジタル教科書の効果と影響


 コロナ禍、子供たちの学びを保証しようと、文科省が全国自治体に求めていた児童生徒1人1台端末の環境が3月末でほぼ整った。

 財源不足等の理由で遅々として進まなかったが、コロナをきっかけに一気に設置が進んだ。

 問題は「GIGAスクール構想」が掲げる「個別最適な学び」や「協働的な学び」をどう実現していくか。例えば、デジタル教科書の活用について言えば、現段階では全国自治体の7・9%しか普及が進んでいない。

 文科省が昨年、4地域五つの小学校でデジタル教科書に関する実証研究を行い、先月公表のデジタル教科書導入に関わる中間まとめで、その効果や影響について報告している。

 それによると、主体的・対話的で深い学びにおいて、デジタル教科書に対する児童の評価は高かった。特に言語学習で効果が高く、外国人児童の学習上の困難を低減するなど、さまざまな学習効果が確認された。

 一方、中間まとめに関するパブリックコメントには、「文章を深く読むことや書くことが疎(おろそ)かになり、読解力の低下につながる可能性がある」といった懸念。「視力や姿勢等への影響に加え、睡眠、脳への影響」など健康面への影響を心配する意見も寄せられた。

 デジタル教科書の活用により、学びの世界が格段に広がることは間違いない。ただ今回の3週間程度の実証研究で子供の健康面への影響について検証できたかどうか、甚だ疑問だ。

 一番の課題は教員のICT活用能力をどう向上させるか。適切な利活用ができなければ学びの効果は薄い。逆にICT活用能力の差が教育の格差を拡大させてしまう可能性も指摘されている。

 3年後の本格導入に向け、紙とデジタルそれぞれの特性を生かし、どうやって効果的な学びを実現するか。健康面への影響を含め、十分な検証を重ねてほしい。

(光)