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北方四島返還の道筋見えず、より明快な広報を


 7日は41回目の「北方領土の日」だった。菅義偉首相は北方領土交渉を「着実に進める」と述べたが、安倍晋三前首相がロシアのプーチン大統領相手に進めた精力的な外交にもかかわらず、4島返還の道筋は見えない。

 1日に報じられたメドベージェフ国家安全保障会議副議長(前首相)の発言は改めてロシア側の頑強な姿勢を浮き彫りにした。同氏は、昨年の憲法改正によって「われわれには領土の主権を引き渡す交渉を行う権利がない」と述べ、日本側の北方領土の主権主張は「お題目」とまで言っている。本当にお題目なのか。

 ロシアは「南クリール諸島(北方領土)は第2次大戦の結果としてロシア領になった」と主張している。①1945年2月に米英ソ3首脳が結んだヤルタ協定(密約)で、ソ連の対日参戦と、日本敗戦時に「南樺太は返還され、千島列島は引き渡される」旨が決まっており②サンフランシスコ講和条約で日本は南樺太と千島列島の主権を放棄し③その千島列島に南クリール諸島が含まれることは日本も認めている――というのがその大略だ。

 そもそもソ連は講和条約に調印しておらず、同条約は日本が主権放棄した南樺太や千島列島の帰属を定めていない。また、日本は講和条約締結の過程で、歯舞、色丹は北海道の一部であり、択捉、国後両島は固有の領土だと主張し続けており、歯舞・色丹に関しては米国もそれを認めていた。さらに米国は56年9月の覚書で「択捉、国後両島は常に固有の日本領土の一部をなしてきた」と認め、ヤルタ協定についても「(米英ソの)当時の首脳による単なる共通目的の声明」であり、「領土移譲に法的効力を持つ最終決定」でないことを明確にしている。

 これだけ指摘しても、ロシアの主張は論駁(ろんばく)できる。ただ日本側の広報資料は、詳しい歴史的経緯や条約等の解釈を羅列するだけで、論争向きではない。もっと明快な広報が必要だ。

(武)