活火山が織り成す自然の神秘
お盆が過ぎた8月下旬、札幌近郊の日中の気温は25度前後となり、ひと頃の猛暑が嘘(うそ)のように去り、秋の気配が漂う。紅葉の時期にはまだ早いが、山々の秋の気配を感じようと車で支笏(しこつ)湖方面を走り、千歳(ちとせ)まで足を延ばしてみた。(札幌支局 湯朝 肇)

8月29日午前9時、住宅街が立ち並ぶ札幌市南区から車で南に15分も走ると山間の風景が見えてくる。
前日まで雨や曇りの日が続いたが、この日の天気は久々の晴天。国道453号は札幌市と伊達市を結ぶ総延長約123㌔㍍の一般国道で、恵庭市や千歳市の山間、支笏湖周辺を通るため、四季折々の豊かな自然を楽しむことができる。

今回は、支笏湖を取り巻く名所を紹介したい。
まず、この日訪れたのは恵庭市の山中にある名滝の一つ、白扇(はくせん)の滝である。札幌から曲がりくねった峠を越えて支笏湖に向かう途中、道道117号へ進路を変え、恵庭市街方面に向かうこと3キロメートルの所にある。紅葉の季節には欠かすことのできない名所だ。シーズンにはまだ早いが、落差15メートル、幅18メートルの滝が落ちる迫力を味わいたいと立ち寄ってみた。期待通りの感動的な光景だった。

白扇の滝に30分ほど滞在し、453号に戻り、千歳市の奥座敷に位置する支笏湖に到着する。北海道を代表する観光名所。周囲40キロメートルの湖畔には恵庭岳、風不死(ふっぷし)岳、樽前山(たるまえさん)といった1000メートル級の活火山がそびえ、湖面に映る。ちなみに、同湖は洞爺(とうや)湖と並んで支笏洞爺国立公園を形成しているが、洞爺湖は湖畔を車で1周することが可能なのに対し、支笏湖は途中までしか車道がない。その先にはサイクリングコースもなく、人を寄せ付けない厳しさと神秘さが漂っている。
それでも人が引き付けられるのは、最大深度360㍍という深さを持ちながら、国内トップクラスの透明度を誇り、季節に応じた花々や野鳥などが心を癒やしてくれるからであろう。8月の下旬、秋にはまだ早く、夏の終わりを名残惜しむかのように家族連れがカヌーや淡水ダイビングで楽しんでいるのが印象的だった。
支笏湖を後にして向かった先は、千歳市内にあるインディアン水車である。この辺り一帯にはサケの生態を観察できる千歳水族館や、道の駅「サーモンパーク千歳」などがあり、地域との交流イベントが目白押し。折しもこの日は、無料で鷹匠(たかじょう)体験ができる催しがあった。

ところで、インディアン水車とは、秋の遡上(そじょう)シーズンにサケの親魚を捕獲するために市内を流れる千歳川に設置されるもの。具体的には川を堰(せ)き止めて造った魚道に水車を設置し、遡上してきたサケを水車の回転で自動的にすくい上げるという仕組みである。明治29年に初めて設置されたという。札幌農学校の1期生、伊藤一隆が渡米した際に、米国コロンビア川でインディアンが採用していた水車式捕魚車を持ち帰ったことからこの名が付いた。千歳川では例年20万尾のサケが捕獲されるという。
もっとも、この日は時期が早過ぎたせいか、サケの遡上はまばら。橋の上からは数匹が見えた程度。それでも時折感じる爽風に秋の気配を感じる一日だった。







