自然の暖かさを体感
暦の上では大寒を越え春となっている3月上旬の札幌。氷点下を下回る日も続く中、初春の晴れた日に札幌近郊の滝巡りを敢行した。真夏に涼しさを求めて感じる滝巡りとは違った森の風景を見ることができる。 (札幌支局・湯朝肇)

札幌市の周囲は、北から南東にかけて石狩平野を望み、北西から南方面は1000㍍も超える山々が連なる。そうした札幌市内には八つを超える滝が知られているが、冬場は雪のため道路が閉鎖され見学できない場所が多い。そうした中で、今回は市内南区にある滝野すずらん丘陵公園の中にあるアシリベツの滝と鱒見(ますみ)の滝、さらに市内西区にある平和の滝を訪れた。

滝野すずらん丘陵公園は札幌中心部より南に車で30分ほどの所にある。広さ400㌶の広大な丘陵は四つのゾーン(渓流ゾーン、中心ゾーン、東・西エリアの滝野の森ゾーン)に分かれ、夏冬通年開かれている北海道内で唯一の国営公園である。この公園の特徴は、広さもさることながら、北海道の自然がそのまま残され、夏は丘陵を覆う花畑の鑑賞から森林対策などの自然体験ができ、冬はそりやゲレンデスキーなど雪国ならではの遊びを親子で楽しむことができる。

一方、渓流ゾーンにある滝巡りは同公園の目玉の一つになっている。公園内には四つの滝があり、中でもアシリベツの滝は「日本の滝100選」にも選ばれている札幌市内で最大級の滝。公園入り口の駐車場から1㌔㍍ほど歩くとアシリベツの滝がある。今年は暖気が強かったせいか毎年この時期に見られる氷瀑(ひょうばく)は解けかかっていたものの、それでも雪の山間から20㍍下に流れ落ちる水しぶきや滝の音の迫力には魅了される。ちなみに、アシリベツとはアイヌ語で「新しい川」という意味である。

アシリベツの滝を後にして、次は鱒見の滝に向かう。アシリベツの滝から鱒見の滝までは距離にして約3㌔㍍。歩くスキーコースにもなっている〝せせらぎコース〟に沿って歩いていくこと1時間。春の日差しを受けながら近くを流れる小川のせせらぎを耳にして雪道を踏みしめ山間に入っていくと幅20㍍ほどの鱒見の滝が見えてくる。落差が18㍍あるというこの滝。昔、この沢の川を上ってきた鱒があまりの高さに昇ることができず見上げるだけだったという伝説から名付けられたという。この滝の良さは、滝の近くまで行くことができ、滝を実体験できるところ。深い滝つぼがあるわけではなく水量もほどほどで、「アシリベツの滝よりも鱒見の滝が好き」という人も多い。

もう一つ、札幌市内には名の知れた滝がある。平和の滝である。もちろん、この滝も山間に入った所にあるが、1㌔㍍ほど下った所に住宅街がある。かつて明治時代の開拓期、この地区の開墾が非常に困難を極めたことから平和と名付けられ、この滝の名称も平和の滝となったという。落差は10㍍で水量は豊富である。冬場は道路、駐車場が雪に覆われ、滝を下から見ることはできないが、それでも雪をかき分けていくと、滝を上から見ることができる。以前は夏場に修行僧が水行を行っていたともいわれる。近くに無人のお寺もあることから札幌パワースポットの一つとされている。手稲山登山道の入り口にもなっており、登山するとなれば途中に布敷の滝や青竜の滝など幾つかの滝を見ることができる。

人口195万人以上の大都会で市内近郊に10個近い滝を見ることができる札幌。四季折々の滝の様子を観察しながらマイナスイオンを浴びて心の癒しを受けるのも楽しいものである。






