春夏秋冬、伝説に彩られ神秘的な美しさをたたえる田沢湖を車で半周した。国内外の人たちと会話の時間を楽しむ。雲間からの日差しで刻々と移ろう湖面。雪の薄化粧をした山々。歴史ある御座石(ござのいし)神社、ブロンズ像のたつこ像と浮木(うきき)神社。田沢湖クニマス未来館で田沢湖の生い立ちを知る。意外と面白かったのが「思い出の潟(かた)分校」。周辺にはスキー場や多彩な温泉と楽しみが多い。(文と写真・伊藤志郎)

11月後半の晴れの日、車で角館から北上し秋田内陸線「松葉駅」近くから東へ山道を進む。突然、眼下に壮大な田沢湖が出現した。水深日本一、周囲約20㌔㍍の壮大な展望が広がる。

雲が通り過ぎ、青空から日が差し込み湖面を照らす。背後には、前日の小雪で薄化粧した山々が連なる。それを見ただけでも心が癒やされる。
湖岸に大きな石場があり、秋田藩主が座を設けたことから名が付いた御座石と神社が建つ。大きな赤い鳥居を背に記念撮影する二人連れ。米国から里帰りしたという女性は従妹(いとこ)に案内されて来た。「周りの空気が違う」と言う。神社の境内に、石造りの女神・辰子姫像があり、美貌成就や縁結びのパワースポットでもある。

10分で黄金色のたつこ像へ。隣の浮木神社と共に世界中から観光客が押し寄せる。パンフレットには「朝日に照らされ茜色に染まる。淡い光にきらめく春、深い緑と青空が美しい夏、紅葉を映し出す秋、真っ白な雪に包まれる冬」と美辞麗句が連なるが、訪れた時の光景が一番美しいのかも。
さらに10分ほどで「田沢湖クニマス未来館」に着く。田沢湖の成り立ちや一年中凍らない謎が明かされる。そして玉川の酸性水を導入したことで絶滅したクニマスと、山梨県の西湖(さいこ)で発見されたクニマスの里帰りへの夢がつづられる。水槽では満2歳のクニマス数匹が泳いでいた。千葉の30代男性は「クニマスは紅鮭の一種ですからおいしいでしょう」と話す。
次に、近くの「思い出の潟分校」へ。広い運動場と木造校舎。最盛期は80人ほどの小学生がいたが昭和49年に廃校。修復後の平成16年に一般公開した。

机や黒板は当時のまま。教科書やランドセル、そろばんが置かれ、来校者は自由に触れることができる。
首都圏から新幹線で盛岡に着き、レンタカーで来たという男性3人組は高校の同級生。オルガンを演奏し国語の教科書を読み、感想を語り合っていた。
1・2年生の教室ではけん玉、体育館では卓球をするカップル。年間を通じイベントもあり5月の桜、紅葉の時期は賑(にぎ)わう。
なお田沢湖を一周するには車、サイクリングのほか、田沢湖駅から羽後交通が湖を一周する路線バスを運行しており、観光スポットに10~20分滞在する。

公式ホームページに時刻表がある。






