トップ文化旅・レジャー人工都市と古き良き里山の風景ー「よこやまの道」(東京都多摩市)

人工都市と古き良き里山の風景ー「よこやまの道」(東京都多摩市)

ジョギングコースとしても人気

東京都町田市、稲城市、多摩市、八王子市にまたがる多摩丘陵。そこに約50年前、〝多摩ニュータウン〟が建設された。時代の流れとともに高齢化の波が押し寄せ、団地の建て替えの話も進む。多摩市は近年、遊歩道の整備を進め、健康都市宣言を掲げる。その一つに万葉集にも記されている『よこやまの道』がある。人工都市と古き良き里山の風景、双方を楽しめる道でもある。5年ぶりに同地を訪れた。(文と写真・佐野富成)
「多摩丘陵パノラマの丘」から多摩市街地を一望
「多摩丘陵パノラマの丘」から多摩市街地を一望

5年前、京王相模原線若葉台駅から歩いたが今回は、多摩市永山のエコプラザ多摩(資源化センター)から小田急多摩線唐木田駅を目指した。多摩市の遊歩道は総延長41㌔。日本一の遊歩道といわれている。

東京都多摩市 よこやまの道付近の地図
東京都多摩市 よこやまの道付近の地図

その中の一つ『よこやまの道』は、総距離10キロで多摩市を代表する最長の遊歩道だ。6キロほどだったが、新日本歩く道紀行「歴史の道」100選(平成27年度)に選ばれている。5年前はフルに10キロを歩いたが、今回は時間の都合上、ショートカットでゴールを唐木田駅に設定した。 道は多摩市の南縁(町田市、神奈川県川崎市の境目)にあり東西を結んでいる。南多摩尾根幹線と並行している。

京王相模原線・京王永山駅(東京都多摩市)から歩いて約20分。南多摩尾根幹線道路に突き当たる。突き当たりにエコプラザ多摩(資源化センター)の建物があり、よこやまの道を示す指示案内が立っていた。案内されるままそこをしばらく歩くと「多摩丘陵パノラマの丘」(防人(さきもり)見返りの峠)がある。

そこからは、多摩市内を一望できるほか、天気さえよければ富士山も見ることができる。丘には、そこから一望できる山々の解説のプレートが置かれていた。 さらに解説には、「よこやまの道」は、万葉集で「多摩の横山」と呼ばれたことから命名されたとある。 「多摩丘陵パノラマの丘」を後に唐木田駅を目指す。今回は、初の初夏に挑んだ。木々はうっそうと茂り、夏の厳しい日差しを遮る。ただ、「ハチの巣危険」の看板があるため、日陰になろうとも油断ができない。里山の風景と緩やかな起伏を楽しみながらというよりも、ハチの襲来があるのではないかとびくびくしながら今回は歩いた。ちなみに服装は上は白のTシャツ(黒はハチを近づけさせる、と言われる)。ズボンは黄土色の厚手のものを履いた。その分、下半身は蒸れて肌に引っ付くなど大変だった。上半身は汗びっしょり。終着点、唐木田駅近くのホームセンターのトイレで着替え、汗がしみ込んだTシャツを絞ると滴るのではないかと思うほどぐっしょりしていた。

一本杉公園までは、国士舘大学や恵泉女学園大学が隣接する。道は、国士舘大陸上部などのトレーニングコースにもなっている。一般市民のジョギングコースとしても人気のコースだ。

一般市民も人気の天然のジョギングコース「よこやまの道」
一般市民も人気の天然のジョギングコース「よこやまの道」

また、鎌倉幕府討幕の軍を挙げた新田義貞を迎え撃つため幕府側が軍を隠したといわれる史跡や「古道五差路」と言われる五つの道の分岐点がある。一本杉公園から唐木田駅までは、比較的なだらかな尾根沿いを歩くルート。途中、ニュータウン開発の際に消滅した道もあるが、奥州古道(古代の奥州街道)など古戦場跡などの史跡が豊富だ。今回ありがたいことに、道標(みちしるべ)がしっかりしていたため5年前に比べるとスムーズに歩けた。

ただ残念なことに、専用の畑があり栽培した野菜などを近くの農協などを通じて販売していた恵泉女学園大学が、2023年に新入生募集を取りやめ閉学が決まった。今回足を運ぶと以前きれいに整備された畑はやや小さくなっているように思えた。

ところで、改めて「よこやまの道」の地図を見ると、周辺に小学校、中学校、高校、大学が配置されていることに気付かされる。実に11校ある。唐木田駅近くには大妻女子大学があり、地図にはないが、国士舘大学の近くの神奈川県川崎市側には明治大学農学部の黒川農場もある。まさに、学園通りともいえる。

唐木田駅に着くと夏の厳しい暑さに辟易(へきえき)しながら、冷房の利いた我孫子行きの車両に乗り込んだ。しばらくすると、心地よさからウトウトと寝込んでしまった。

約3時間の行程だったが、5年前と比べて体力が落ちていることに気付かされた。

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